Research Abstract |
地盤力学は,他の応用力学分野同様,連続体の力学に基礎を置いて発展して来た。しかし,近年,地盤材料に避けて通れない,例えば,土の粒状性や岩盤の不連続性がその力学特性を論ずる上で重要であることが認識されるに至り,不連続性の効果を包含した力学体系の確立に向けて意欲的に取り組まれるようになった。この研究は,応用力学,土質力学,岩盤力学の各分野によって個別に開発されて来た成果を持ち寄って討議することにより,不連続性材料の力学に一つの体系を与えると共に,新しい飛躍を図ろうとするものである。研究は,不連続面発生機構の解明,不連続面発生の数値シミュレ-ションの開発,不連続面の効果を取り込んだ等価連続体理論の確立からなっている。平成2年度の研究成果を要約すれば,以下の通りである。 (1)粒状体のすべり面発生機構は,その軟化特性や全般破壊に至る機構を理解する上で重要である。龍岡は,すべり面近傍の微小領域のひずみ分布をとらえることによって,その発生の微視的メカニズムを明らかにした。また,田中は,すべり面発生に伴う材料の軟化を数値解析に取り込むソフトの開発に成功した。 (2)岸野、岩下は協力して,粒状体の数値シミュレ-ションの適用性や限界を明らかにし,巨視的すべり面形成の微視的メカニズムについて,重要な知見を得た。 (3)小田,山辺,石塚,京谷は,実際に存在する地質不連続面の連続体力学的扱いに関連して,マイクロポ-ラ弾性体,ダメ-ジメカニックス,破壊力学などの適用性を検討した。また,モデルの構築と共に数値解析を行うことによって,その妥当性を検討した。 以上の研究と並行して,平成2年度にはArtherらの参加を得て第一回のワ-クショップを開催し,グル-プ間の情報交換を図った。
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