1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02302071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 功 東京大学, 工学部, 教授 (90011212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 直人 東京理科大学, 工学部第2部, 助手 (70186047)
内田 祥哉 明治大学, 理工学部, 教授 (40010665)
内田 昭人 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (90142017)
稲垣 栄三 明治大学, 理工学部, 教授 (70010668)
伊藤 延男 神戸芸術工科大学, 教授 (40124193)
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Keywords | 構造法 / 被害例 / 柱転倒 / めり込み / 復元力特性 / 振動特性 / 伝統的木造建築 |
Research Abstract |
初年度の研究として、伝統的木造建築の構造安全性に関する各分野の知見の総合と構造体としての実態把握を計り、具体的作業としては以下の調査、数値解析、部分実験を行なった。 1.修理工事報告書を主とする文献調査により、構造法の分類整理、地震・風による被害例の収集、構造安全性に関連する各部構法の実態把握を行なった。構造法に関しては、水平力に対する抵抗要素として柱の転倒による復元力、柱・梁のラ-メン効果、貫を含む壁面の耐力壁の効果などに着目して新たな分類整理を行った。また地震、風による大規模被害例の収集からは、経年変化による耐力の減少が被害の要因となる可能性が見出された。 2.建物全体の解析上重要となる接合部の斜めめり込み性状に関し、有限要素法による数値解析を行った。ただし既往の実験との照合は不十分である。また、理論的検討が十分なされていない柱の転倒について試計算を行い、柱断面形状、鉛直荷重による変化についての考察を加え、数例について建物全体の復元力に占める柱転倒復元力の割合を明らかにした。さらに地震動入力に対する応答計算を行った結果、柱転倒による復元力を主要な水平力抵抗要素とする古代の建物については、地震入力に対する応答が比較的小さく押さえられることが判った。 3.柱の転倒による復元力について、10分の1スケ-ルの模型実験で復元力特性、振動特性の把握を行った。その結果、荷重一変形関係の直線域が無く、大変形後も最大復元力に近い値まで戻るという特徴が明かとなり、さらに地震動に対する応答が比較的小さく押さえられるという解析結果を確認することができた。 以上により、個々の建物を定量的に構造モデル化するための考え方の整理がなされ、解析に当たっての基礎的デ-タがかなりの程度まで整備された。
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