1990 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリヤ筋症並びにミトコンドリヤ脳筋症の病因・病態の解明
Project/Area Number |
02304043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 啓也 東北大学, 医学部, 教授 (20046907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮林 重明 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20174203)
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 助手 (40126157)
和田 義郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30004849)
香川 靖雄 自治医科大学, 教授 (30048962)
小澤 高将 名古屋大学, 医学部, 教授 (80022771)
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Keywords | ミトコンドリア脳筋症 / ミトコンドリアDNA / MELAS / 一塩基置換 |
Research Abstract |
ミトコンドリア脳筋症の病因解明には、これまでの電子伝達系酵素の特異的抗体を用いた免疫ブロットの結果より、その病因がミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異に起因していることが強く疑われた。その解析が本研究の大きなテ-マであり、本年度の研究成果を以下に示す。 まずMELAS(mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis and strokeーlike episodes)はわが国に多い疾患であり、その病因は不明であった。強く母性遺伝を疑わせるMELAS家系の1患者のtRNA遺伝子を含む領域の全塩基配列を決定し、既に報告されている人の塩基配列と比較したところ、tRNA^<Leu(UUF)>遺伝子内の塩基番号3,243のみ、AからGへの1塩基置換が存在した。またその変異はPCR法と制限酵素を用いた簡便なDNA診断が可能となった。つまり患者ではA→G塩基置換により新たにApaIの制限酵素部位ができ、PCR産物がこの制限酵素で切断されるかどうかをみることにより判定できる。実際この方法により約40例のMELAS患者が同一の変異を持つことが判明したが、正常者すべてにおいてその変異は存在しなかった。 mtDNAの欠失は、KearnーSayre症候群や進行性外眼筋麻痺の患者において高頻度で認められることが判ってきた。しかしこれらの多くは年長者または成人で、小児では希である。今回小児で死の転帰をとった2例の患者と、臨床経過及び臨床的検査結果よりLeigh脳症が強く疑われた1症例で、従来報告されている欠失とは長さ及び欠失の部位において違う、新しいタイプのmtDNA欠失を証明した。すなわち、従来は欠失の長さが1.3〜7.6KBで、mtDNAのH鎖とL鎖の複製開始部は保持されるかたちでおこっているが、我々の症例の骨格筋及び培養線維芽細胞のmtDNAの解析でL鎖の複製開始部も欠失していた。この部の欠失を持つmtDNAは複製できないのに一定の割合で存在するという興味ある結果を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Goto;S.Horai,et al.: "A mutation in the tRNA^<Leu(UUR)> gene associated with the MELAS subgroup of mitochondrial encephalomyopathies" Nature. 348. 651-653 (1990)
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[Publications] S.Miyabayashi;K.Tada,et a.: "A new type of mitochondrial DNA deletion in patients with encephalomyopathy" J.Inherit.Metab.Dis.
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[Publications] S.Miyabayashi;K.Tada,et al.: "Familial MELAS (mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis,and strokeーlike episodes) with cytochrome b deficiency"