1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02304057
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀伊国 献三 筑波大学, 社会医学系, 教授 (10114068)
高橋 政祺 杏林大学, 医学部, 教授 (40086492)
尾崎 恭輔 東海大学, 医学部, 教授 (90119660)
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Keywords | 大学病院 / 医療費 / 一般病院 / 医学教育 / 医師養成 / 医局員 |
Research Abstract |
大学病院は高機能な医療施設であると同時に、医師養成のための中心的な役割を担っている。従来からその医療費が高額になることが指摘されているが、その主要な要因のひとつとして、医師養成のための研修・教育コストが含まれていると考えられる。そこで、参加5大学病院の退院患者の疾患別入院当り医療費および1日当り医療費を、大学病院以外の4一般病院のそれらと比較検討した。各々の病院の1日当り医療費の平均値を見ると、たしかに大学病院はより高い値を示すが、頻度の高い疾患別で見ると 必ずしもそうなるとは限らない。特に、最近の一部の高機能病院においては、各疾患において、在院日数がより短かく、1日当り医療費も大学病院と同等またはそれ以上の事例が認められ、診療密度の高さと教育的要因との関係は、決して単純なものではないことが明らかとなってきている。 一方、医師の養成のプロセスを経験している医局員に対して、大学病院で経験した診療内容と、関連病院等へ出向して行っている診療とが、具体的にどのように異っているかについてアンケ-ト調査をすることが、医師養成コストを検討する上で有効なのではないかと考えられた。そこで、入局3年から10年程度までの医局員に対して、大学病院における診療と出向している一般病院と、検査指示の出し方、処方の内容、手術のスケジュ-リング、退院の時期についての考え方、などを中心にした設問票を作成している。また 医局の教育担当者に対して、医局員の教育関連業務の状況や予算の規模などについての事情を調べることも検討している。教育コスト部分を、診療や研究部分から区分することは困難である場合が多いことが改めて認識されたが、医師養成の制度的な整備を図るためにも、相互に関係している要素を整理することは必要であり、引き続き調査と分析を進める予定である。
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