1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02305015
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
池上 英雄 核融合科学研究所, 教授 (10023699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 昇 東京農工大学, 工学部, 教授 (40134845)
太田 健一郎 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (30011216)
岡本 真実 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (40016853)
前田 豊 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90027425)
高橋 亮人 大阪大学, 工学部, 助教授 (50029112)
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Keywords | 核融合 / 電気分解 / 中性子 / トリチウム / 過剰熱 / パラジウム / 重水素 / 常温核融合 |
Research Abstract |
常温核融合現象の再現性は依然として乏しい。この萌芽的研究分野において、科学研究費補助金(総合A)による本研究計画からの成果は国際的にも高い評価を得ている。 中性子計測に関しては、複数の互いに独立な計測器を用いて中性子検出が確認された(核融合研究所 池上、東工大 岡本)。さらに常温核融合における中性子のエネルギ-・スペクトラムの測定にも成功し、中性子のエネルギ-が2.45MeVであることを確認した(阪大 高橋、北大 水野)。核反応生成物としてのトリチウムの検出は、中性子の発生量をはるかに上回る事例が観測されている(北大 水野)。 常温核融合からの過剰熱に関しては、電解法において入力の数10%を上回る熱出力を検出した(東京農工大 小山、横浜国立大 太田)。しかしながら、この程度の過剰熱は「核融合」に関連させることなく説明が可能かもしれない。過剰熱と中性子またはトリチウムとの相互関係は不明である。 機構解明のため唯一の可能性と考えられる「ひびわれ核融合」を追及する実験も行われた(中央大 深井、東北大 新村)。結果は否定的であったが、実験手法が材料的制約を受けるため、「ひびわれ核融合」の可能性を完全に否定するまでには至っていない。 次年度に残された基本的研究課題は、中性子発生の制御性の確立、更にこれら中性子発生源がパラジウムやチタンなど、常温核融合実験セルからであることの絶対的確認である。 研究発表会は平成2年10月、東京都立大学との共催により同大学において200名の出席者をえて開催された。研究内容は「常温核融合ミニシンポジウム要旨集」として出版されている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Noboru OYAMA: "Electrochemical Calorimetry of D_2O Electrolysis Using Pd CathodeーUndivided Open Cell Systemー" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 2659-2664 (1990)
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[Publications] Akito TAKAHASHI: "Emission of 2.45 MeV and Higher Energy Neutrons From D_2OーPd Cell Under Biased ーPulse Electrolysis" J.Nucl.Sci.Technol.27. 663-666 (1990)
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[Publications] 池上 英雄: "常温核融合研究の現状" 電気学会誌. 110. 535-540 (1990)
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[Publications] 池上 英雄: "常温核融合論争 その後の展開" 化学. 46. 9-13 (1991)
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[Publications] 池上 英雄: "核生成物からみた常温核融合" 応用物理. 60. 212-219 (1991)
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[Publications] 小山 昇: "電気化学反応により誘起された核融合" 応用物理. 60. 220-226 (1991)