1990 Fiscal Year Annual Research Report
世界史上における人と物の移動・定着をめぐる総合的研究
Project/Area Number |
02401009
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
勝藤 猛 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (70030103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南川 高志 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (40174099)
武田 佐知子 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00181412)
阿河 雄二郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (80030188)
米山 喜晟 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (20065808)
岡崎 正孝 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (90030163)
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Keywords | 移動 / 定着 / 国家 / 空間認識 / 遊牧 / 世界経済 / 心性 / 農民 |
Research Abstract |
本研究は、世界史上における「人と物の移動・定着」の問題を、従来しばしばなされてきた事件史的政治史や社会経済史の視点からの説明ではなく、人々の生活やメンタリティ-の次元からより根本的に促え直し、各地域に特有のものから世界的規模のものに至るまで総合的に考察しようという目的を掲げたものである。ただ、問題の解明に直ちに新たな視点や分析手法を持ち込むことは必ずしも有効ではない。在来の諸研究の達成状況と史料の現況を充分把握した上で、新たな展開が企てられる必要があると思われる。そこで、本研究プロジェクトの最初の年である本年度は、各研究分担者が、既存の研究文献・史料類の網羅的収集に努め、それぞれの研究分担テ-マについての研究史の把握や史料の調査など基礎的な作業に尽力した。また研究分担者を研究分担テ-マの地域ごとに東洋、西洋に二分して編成した二グル-プによる基礎的な問題の検討も行われた。こうした成果をふまえて、研究プロジェクト参加全員を集めた研究会が数度開催され、各分担者の研究の進展状況が報告されるとともに、研究代表者を中心として本プロジェクトで扱いうる問題の範囲の限定について議論がなされた。本年度の成果は分担者個人による個別的な達成にとどまるが、全体の研究会では、参加者全員に有益な指摘もいくつか得られた。例えば、研究代表者勝藤教授による中国の均田制をめぐる問題の分折によって、この史上有名な制度の実態が極めて不明暸なもので、制度の実施に関わる人(農民)の移動の問題を一層根本的に考察する必要がある点が明らかにされた。武田助教授の報告では、古地図を史料として知られる日本古代国家における人々の空間認識や世界像の描き方は、中国とは異なる独自性を有していた点が明らかにされた。これらの報告のもつ分析手法や展望は、次年度の本研究の推進に極めて有効な示唆を与えてくれると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岡崎 正孝: "1898年のタブリ-ズにおけるパン騒動" 史林. 74ー1. 118-134 (1991)
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[Publications] 米山 喜晟: "Antonfrancesco Grazzini detto il Laseaの『晩餐』の輪郭" 大阪外国語大学論集. 4. 221-248 (1990)
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[Publications] 岡崎 正孝(編),勝藤 猛: "アフガニスタンと中央アジア" 『中東世界ー国際関係と民族問題』所収(世界思想社).
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[Publications] 桑島 昭: "インド・ナショナリズムーインド国民会議派成立百年を経てー" 『世界史への問い』第10巻(岩波書店). (1991)
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[Publications] 桃木 至朗: "書評論文「桜井由躬雄著『ベトナム村落の形成ー村落共有田=コンディエン制の史的展開ー』創文社刊,1987年」" 東南アジアー歴史と文化ー. 20. (1991)
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[Publications] 岡崎 正孝(編): "中東世界ー国際関係と民族問題" 世界思想社,