1990 Fiscal Year Annual Research Report
非線形スピンダイナミックス系におけるカオスとマルチフラクタルの研究
Project/Area Number |
02402009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山嵜 比登志 岡山大学, 理学部, 教授 (40013495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
圓山 裕 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (20181836)
大嶋 孝吉 岡山大学, 理学部, 助教授 (10114414)
田中 基之 岡山大学, 理学部, 教授 (80032803)
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Keywords | カオス / フラクタル / スピン波 / マグノン / パラメトリック励起 / 平行励起 / スピン波乱流 |
Research Abstract |
1.スピン波のパラメトリック励起法の一つである,Suhlのスピン波一次不安定増大過程を利用して,フェリ磁性体YIGのスピン波を熱平衡値を大きく越えて増大させた.その結果スピン波数の周期的振動,続いてカオスが観測された.実験的には振幅がカオス的に変調されたマイクロ波が得られる.このカオスのストレンジ・アトラクタを3次元位相空間に描いたところ,その軌道のポアンカレ断面は薄いシ-ト状をしており,軌道面の引き伸ばし折り畳み過程が明らかになった.相関積分法により求めたそのフラクタル次元は1.9であった.しかしその折り畳み過程は一様ではなく,フラクタル次元が局所的に異なる,マルチフラクタル構造をしていることが予想されたので,大域的構造を表現するf(α)スペクトルを求めた.その結果はカオスを表すとして理論的によく知られたロジスティック・マップより得られた,カオスのオンセットにおけるf(α)スペクトルの普遍カ-ブとよく一致することが確かめられた.続いてこのストレンジ・アトラクタのリヤプノフ指数の解析を進めている. 2.同じフェリ磁性体YIGについて,平行励起法によるカオスの観測を行ったところ,1.で述べたような周期的カオスの他に,流体カオスなどでよく知られている間欠カオスや,励起マイクロ波に振幅変調を加えた時に発生する,準周期ル-トからのカオスなどが新たに観測された.これらのカオスはマイクロ波強度,外部静磁場強度,試料温度などの実験パラメ-タを制御することにより,選択的に発生させることができる.これらのカオスの特性の研究は進行中である.
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[Publications] 山嵜 比登志: "非線形磁気共鳴" 数理科学. 321. 49-55 (1990)
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[Publications] 光藤 誠太郎: "ス-ル第一次不安定性領域でのマグノン系カオス" 物性研究. 53. 671-673 (1990)
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[Publications] 味野 道信: "マグノン系における間欠カオスの観測" 物性研究. 53. 674-676 (1990)
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[Publications] Seitaro Mitsudo: "Fractal Structure of Strange Attractor at the Subsidiary Resonance in Yttrium Iron Garnet" Journal of the Physical Society of Japan. 59. 4231-4234 (1990)
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[Publications] Michinobu Mino: "Transition to Chaotic State in SpinーWave Turbulence" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 90891. 781-782 (1990)