1991 Fiscal Year Annual Research Report
地殼内部及び地表環境における物質の組成動態に関する地質学的研究
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02402016
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 巌雄 新潟大学, 理学部, 教授 (70018266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 雅昭 新潟大学, 理学部, 助教授 (00126426)
赤井 純治 新潟大学, 理学部, 助教授 (30101059)
吉村 尚久 新潟大学, 理学部, 教授 (40018255)
宮下 純夫 新潟大学, 理学部, 助教授 (60200169)
周藤 賢治 新潟大学, 理学部, 教授 (50143748)
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Keywords | 日本海 / 化石の続成変化 / 変質作用 / 日本海形成と火成作用 / 変形小構造 / 堆積岩岩石学 |
Research Abstract |
本年度の成果は次の通りである.1)マントルに由来する火成岩の形成過程とその時間的・空間的変還:西南北海道の漸新世〜前期中新世火山岩のSr同位体比を測定した結果,34Maの玄武岩類は低いSrI値を示し,15Ma以前においてもSr同位体の低いアセノスフェア由来の玄武岩の活動があったことが明かとなった.奥尻海嶺玄武岩はEPMAによる鉱物分析,蛍光x線による全岩化学組成の分析結果から,EーMORB的性格を有することが明らかになった.2)地殼浅所・海洋底・地表におけるこれらの火成岩の変質・風化過程:日本海海底より産出した磁鉄鉱を電子顕微鏡で観察し,とくにバクテリアにより形成された生体鉱物の産状,形態を記載し,堆積物中の分布パタ-ンから日本海の海洋環境の変還との関係を追求した.3)地表における堆積物の変化過程:頸城地域に分布する新第三系のタ-ビダイト砂岩に含まれるガ-ネットほかの化学組成は地域および層準による源岩組成の違いに起因すること明かとなり,それらの後背地を推定した.また,新潟地域のテフラの運搬・堆積過程を検討し,ash flow turbiditeの粒度を検討した.4)生物の石灰化組織の形成過程と地殼中・地表における生体鉱物の続成変化過程:デスモスチルスの臼歯化石のエナメル質を構成する各種元素は他の哺乳類と類似した傾向の分布様式を示した.エナメル質化石の保存状態がきわめていよいことを 示唆している.5)変形構造の形成過程における鉱物の微細組織・組成変化の過程:日高変成帯主帯の上昇運動期に形成された,原岩を同じくするマイロナイトにおいて,変形構造・組織と変成度との関係について検討した.その結果,マイロナイト形成時の温度条件を反映して異なった組織が現れるらしいということを明らかにした.また,九州四万十帯の形成過程を検討し,付加体形成場においてせん断変形のセンスの逆転,角閃岩相に達する累進変成作用が起こったことを見いだした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小林 巖雄: "化石化過程における無機物質の変化ー歯牙化石の無機組成と硫化鉄鉱物の沈着様式ー" 新潟大学理学部地質鉱物学教室研究報告. 7. 1-25 (1992)
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[Publications] 周藤 賢治: "北阿武隈地域に産する中期中新世アイスランド岩様デイサイト" 新潟大学理学部地質鉱物学教室研究報告. 7. 103-110 (1992)
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[Publications] 宮下 純夫: "下川オフィオライトにおける鉱物の累帯構造に関する予察的研究" 新潟大学理学部地質鉱物学教室研究報告. 7. 85-101 (1992)
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[Publications] 立石 雅昭: "北部フォッサマグナ頚城地域の中新一鮮新統タ-ビダイト砂岩の源岩" 地質学論集. 38. 181-190 (1992)
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[Publications] Akai,J.: "TEM study on biogenic in magnetite deepーsea sediments from the Japan sea and the western Pacific Ocean" Jour.Electron Microscopy. 17. 110-117 (1991)
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[Publications] 黒川 勝己: "新潟地域における上岡凝灰岩および板山凝灰岩の対比についてー上越地域から下越地域まで海底を流走した火山灰の検証ー" 新潟大学理学部地質鉱物学教室研究報告. 7. 57-72 (1992)