1993 Fiscal Year Annual Research Report
スプレッドスペクトラム高度情報ワイヤレス通信モデムの研究
Project/Area Number |
02402034
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坪内 和夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30006283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益 一哉 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20157192)
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Keywords | スペクトル拡散 / 無線通信 / ワイヤレス通信モデム / 弾性表面波 / コンボルバー / コリレータ / 窒化アルミニウム / RF IC |
Research Abstract |
最終年度である平成5年度は、「2.4GHzスプレッドスペクトラム(SS)ワイヤレスモデム」、ならびに「AlN/Al_2O_3構造RF IC化の基礎開発」について、以下の研究を行った。 (1)2.4GHz SS通信バンド用完全非同期・全二重通信SSモデムの開発 米国に続いて我国においてもSS通信用に2.4GHz帯の利用が認められた。本研究では、ワイヤレスターミナルに必須である全二重通信が可能な2.4GHz SSワイヤレスモデムの設計・試作・評価を行った。同一周波数帯での全二重通信において最も大きな妨害となるのは、自局内の送信部からの信号によるself-jammingである。新開発モデムでは、マイクロストリップ線路によるアイソレータとSAWコンボルバのプロセスゲインを用いてself-jammingの除去を行った。有線伝送実験により、-78.3dBというself-jamming耐性を確認した。この値は、自局が10mWの送信を行っている場合に半径200mのエリア内では通信可能であることに相当し、ワイヤレスネットワーク機構に十分な値である。現在、これらの研究成果をテレコントロール用SSモデム、デジタル音声通信用SSモデム、ワイヤレス・ハンディターミナルの開発研究へと発展させている。 (2)AlN/Al_2O_3構造RF IC化の基礎開発 平成2〜4年度の研究で、MO-CVD法により2インチサファイア基板上に成長したエピタキシャルAlN薄膜を用いて、2.4GHz SAWフィルタを製作し、20ppm以下の遅延時間温度係数を安定して得られるようになった。本年度は、2.4GHzのキャリアを含んだ状態で相関検出が可能なデバイスであるSAWコリレータを設計・試作し、実際に遅延検波回路を構成して、良好な遅延検波特性を得た。SAWコリレータを用いるとモデムの受信部の構成を飛躍的に簡便化可能であり、超小型SSワイヤレスモデムへの見通しを得ることができた。さらに、SAWコリレータを用いたモデム構成法としてCDMA/TDマルチチャネル方式を提案し、超小型モデム開発の研究へ発展させている。 以上、研究計画に沿って研究を遂行し、超小型スプレッドスペクトラム高度マルチ情報ワイヤレスターミナルの基礎を築いた。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] H.Nakase: "Novel Narrowband Rejection for an Asynchronous Spread Spectrum Wireless Modem Using a SAW Convolver" IEICE Trans.Commun.E76-B(6). 947-954 (1993)
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[Publications] K.Tsubouchi: "Full Duplex Transmission Operation of A 2.45-GHz Asynchronous Spread Spectrum Modem Using a SAW Convolver" IEEE Trans.on Ultrason.Ferrolelec.Freq.Contr.40(5). 478-482 (1993)
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[Publications] H.Nakase: "Full Duplex Asynchronous Spread Spectrum Modem Using a SAW Convolver for 2.4-GHz Wireless LAN" IEICE Trans.Commun.to be published. (1994)
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[Publications] H.Nakase: "Full Duplex Asynchronous Spread Spectrum Modem Using a SAW Convolver for 2.4-GHz Wireless LAN" The Forth International Symposium on Personal Indoor and Mobile Radio Communications(PIMRC'93),Yokohama,September,1993. 302-304 (1993)
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[Publications] T.Kasai: "Epitaxial Growth of AlN on Sapphire Substrate for Application to GHz SAW Devices" Proceedings of International Conference on Advanced Microelectronic Devices and Processing,Sendai,March,1994. 569-574 (1994)
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[Publications] 南波昭彦: "SAWコンボルバを用いた2.45GHz完全非同期全二重SSモデム" 電子情報通信学会技術研究報告(スペクトル拡散研究会),1993年10月. SST-92-94. 19-24 (1993)
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[Publications] 葛西徹: "2.45GHz DS/SS用AlN/Al_2O_3構造SAWコリレータ" 電子情報通信学会技術研究報告(スペクトル拡散研究会),1993年10月. SST-93-45. 7-12 (1993)
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[Publications] 中瀬博之: "フロントエンドSAWコリレータを用いた2.4GHz SS無線モデム" 電子情報通信学会技術研究報告(スペクトル拡散研究会),1993年10月. SST-93-54. 13-18 (1993)
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[Publications] 小林秀夫: "SAWコンボルバを用いたDS/SS非同期無線モデムのリモートコントロールへの応用" 電子情報通信学会技術研究報告(スペクトル拡散研究会),1993年10月. SST-93-55. 19-24 (1993)
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[Publications] 中村幸則: "ガスビームフロー方式を用いたAlNエピタキシャル成長(IX)" 1993年秋季 第54回応用物理学会学術講演会 (1993年9月). 30p-ZS-7 (1993)
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[Publications] 柴田智彦: "減圧MOCVD法により作製したAlN/α-Al_2O_3界面の評価" 1993年秋季 第54回応用物理学会学術講演会 (1993年9月). 30p-ZS-7 (1993)
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[Publications] 中村幸則: "クヌーセン圧MOCVDによるAlNエピタキシャル膜の面内膜厚分布" 1994年春季 第41回応用物理学関連連合講演会(1994年3月). 講演予定. (1994)