シルト質地盤の地震時安定性に関する研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02402041
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 木村 孟 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016506)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 末政 直晃 東京工業大学, 工学部, 助手 (80206383) ; 竹村 次朗 東京工業大学, 工学部, 助手 (40179669)
• Keywords: 地震 / 粘性土 / シルト / 繰返し強度 / 液状化 / 模型実験 / 沈下 / 安定性

Research Abstract

最近我が国の一部の研究者により、シルト質地盤の液状化の可能性が指摘され世間の注目を浴び、シルトのような低塑性粘性土の動的せん断特性に関する研究が盛んに行われるようになってきたが、この種の土質からなる実際の地盤の地震時挙動に関しては未だに殆ど明らかにされていない。本研究では、塑性指数10、5及び2程度の低塑性な粘性土を人工的に作成し、これについて動的三軸試験並びに構造物を支持する模型地盤に対し遠心模型振動実験を行い、シルト質地盤の動的挙動に関して、以下の結論を得た。即ち、
(1)繰返し載荷時の応力振幅が大きいほど、周波数が小さいほど、また塑性指数が小さいほど、間隙水圧の発生量は大きくなり、剛性の低下が著しくなる。
(2)多くの砂分を含む非常に塑性の低い粘性土が正規圧密状態にある場合、その液状化強度は中密な砂より小さい。一方、過圧密試料の場合、正規圧密試料より繰返し載荷に伴う間隙水圧の増加及び剛性の低下は小さい。また液状化強度は過圧密比が大きなほど、塑性指数が高いほど大きくなり、それは静的強度によって評価し得る。
(3)構造物を支持するシルト質地盤が地震動を受ける場合、振動中に構造物周辺に大きな間隙水圧が発生し、それに伴い構造物が沈下するが、振動終了後は沈下は殆ど発生しない。この振動に伴う沈下は、塑性指数が小さな土ほど大きい。
(4)試料が極めて低塑性の場合、振動初期において構造物近傍の地盤の剛性が低下し、構造物の応答加速度が著しく減衰する。一方、過圧密地盤の場合、構造物周辺のみが劣化することはなく、地盤の広い範囲に繰返し荷重が伝達される。したがって、地震動が大きな場合は地盤深部にまで劣化が及ぶ。

Research Products

• [Publications] 中薗 裕,木村 孟,竹村 次朗,広岡 明彦: "著しく塑性の低い粘性土の繰返しせん断特性" 第26回土質工学研究発表会講演概要集. (1991)
• [Publications] 竹津 英二,広岡 明彦,竹村 次朗,木村 孟: "粘土まじり砂質土地盤の地震時挙動" 第26回土質工学研究発表会講演概要集. (1991)