1991 Fiscal Year Annual Research Report
プレストレストコンクリ-ト構造の耐震性能向上に関する研究
Project/Area Number |
02402043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
六車 煕 京都大学, 工学部, 教授 (30025829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 博人 建設省建築研究所, 企画部企画調査課, 企画研究員
西山 峰広 京都大学, 工学部, 助手 (50183900)
渡辺 史夫 京都大学, 工学部, 助教授 (50026267)
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Keywords | コンクリ-ト / プレストレス / 鉄筋コンクリ-ト / プレストレストコンクリ-ト / 接合部 / 地震 / 解析 / 実験 |
Research Abstract |
平成3年度に主として行なわれた研究は、(1)プレストレストコンクリ-ト(以下PCと略記)梁柱接合部のせん断性状の把握及び塑性ヒンジ領域におけるモ-メント‐曲率(以下Mーφと略記)関係のモデル化、(2)PC梁柱骨組架構の試設計及びこれに対する地震応答解析によるPC架構の地震応答性状の把握、(3)PC架構の耐震性能の検討、の3項目である。平成2年度の載荷試験によって示されたように、過度にプレストレスを導入しないかぎり、PC梁柱接合部のせん断性状は、RCのせん断性状と比べて優れている。また、接合部に配置されるべきせん断補強筋の量は、梁軸方向鉄筋の負担する梁曲げ耐力の割合に比例することも実験結果の解析によって示された。但し、導入プレストレスが大きくなると、PC梁の塑性ヒンジ部分ではカバ-コンクリ-トの剥落や軸方向鉄筋の座屈も観察されたため、適切な量の横拘束補強筋を配置して曲げ靭性を高めるなどの方策を採る必要がある。実験変数としてプレストレスレベルを選んだため、これに基づいてフルプレストレスのPCから鉄筋コンクリ-ト(以下RCと略記)までを連続して取り扱える断面のMーφ関係モデルを作製した。本モデルを梁塑性ヒンジ部のMーφ関係に適用して、PC梁性骨組架構モデルの地震応答解析を行なった。これらの架構と同じ構成でMーφ関係に適用されたモデルのみの異なるRC梁柱骨組架構の応答と比較したところ、従来指摘されてきたよりも少し小さく、PC梁柱骨組架構の応答がRC梁柱骨組架構の平均で1.1倍程度となることが示された。但し、これはフルプレストレスのPC架構と比較したものであり、普通鉄筋もある程度配置され、実際に利用されることの多いパ-シャリ-プレストレス(PPC)の架構の応答は、これよりも小さくなり、RC架構とほぼ同じとなった。しかしながら、入力地震波の特性が大きく影響を及ぼすこともまた示された。
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[Publications] M.Nishiyama,F.Watanabe,and H.Muguruma: "Seismic Performance of Prestressed Concrete BeamーColumn Joint Assemblages" Proceedings of Pacific Conference on Earthquake Engineering,New Zealand,20ー23 November 1991. 1. 217-228 (1991)
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[Publications] 西山 峰広,渡辺 史夫,六車 煕: "プレストレストコンクリ-ト梁柱ト型骨組の履歴復元力特性と接合部せん断性状に関する実験研究" 日本建築学会構造系論文報告集1991.11. No.429. 31-40 (1991)
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[Publications] 西山 峰広,大平 真,渡辺 史夫,六車 煕: "プレストレスによる柱梁接合部の耐震性能改善" JCIシンポジウム「プレストレス原理・技術の有効利用」論文集1991年7月. 137-146 (1991)
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[Publications] 渡辺 史夫,西山 峰広: "プレストレストコンクリ-トの利用性追求研究委員会報告書(2.3 プレストレストコンクリ-トの耐震検討)" 日本コンクリ-ト工学協会「プレストレストコンクリ-トの利用性追求研究委員会報告書」1991年7月. 145-167 (1991)
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[Publications] 岡本 伸,加藤 博人: "PC造建物の地震応答性状" プレストレストコンクリ-ト. Vol.33,No.4,July. 52-63 (1991)