1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02402055
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 通義 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90004291)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 正己 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (30192652)
|
Keywords | 収束電子回折 / 結晶構造解析 / 点群・空間群 / 画像処理 |
Research Abstract |
前年度はイメ-ジングプレ-トの感度が非常に高いこととダイナミックレンジが大きいこと、さらにデ-タをディジタル化でき画像処理が容易であることを利用して、収束電子回折図形の対称性の程度を一層明確に可視化することに成功した。 本年度は、1)収束電子線回折図形の対称性の定量化を行った。すなわち、収束電子線回折図形の回転対称性について、図形をその中心に対して回転して重ね、二つの図形でのラインプロファイルの差を計測した。標準物質Siの〔111〕方位の図形で、ほぼ視認では完全と思われるもので約0.4%の強度差があることがわかった。この方法によって、収束電子回折図形の対称性の定量化への道が開けた。 2)結晶構造解析の第一歩として、すでに予備的に行ってきたSrTiO_3の低温相の収束電子回折図形をイメ-ジングプレ-トを用いて撮り、信頼できる強度プロファイルを得た。これと平行して、電子回折の動力学理論による回折強度プログラムを開発した。計算時間短縮のために一般化したベ-タ近似を導入し、非線型最小二乗法(SALS)を用いて、実験で得られた強度と計算値との効率的なフィッティングと、誤差論に基づく誤差評価を可能にした。このプログラムを用いてSrTiO_3の低温相での酸素八面体の回転角θを1.12±0.04゚と決定した。この結果は、Mullerらによって電子スピン共鳴の実験から得られた値とよく一致している。 次に、構造が未知の六方晶BaTiO_3の中間相の構造解析を行った。この相では双晶の混入が避けられないが、CBED法によれば単分域領域を選択して解析が行えるので信頼性の高い結果が得られる。100Kにおいて原子位置および温度因子をはじめて高精度で決定した。 以上に述べたように、今回の研究によって動力学理論に基づいた収束電子回折法による結晶構造解析法の基礎を確立できた。
|
-
[Publications] M.Tanaka: "Characterization of icosahedral quasicrystals by convergentーbeam electron diffraction" Sci. Rep. of RITU.A36. 159-170 (1991)
-
[Publications] M.Tanaka,M.Terauchi and T.Kaneyama: "Identification of Lattice defects by convergentーbeam electron diffraction" J. Electron Microscopy. 40. 211-220 (1991)
-
[Publications] M.Saito,M.Tanaka…: "Space group determination of decagonal quasicrystals of an Al_<70>Ni_<15> alloy using convergentーbeam electron diffraction" Jpn. J. Appl. Phys.31. L109-L112 (1992)
-
[Publications] 寺内 正己,田中 通義: "収束電子回折法による4次元空間群の決定" 日本結晶学会誌. 34. 11-18 (1992)
-
[Publications] M.Tanaka,K.Tsuda,M.Terauchi…: "Electron diffraction and electron microscope study of decagonal quasicrystals of AlーNiーFe alloys" J. NonーCrystalline Solids.
-
[Publications] K.Tsuda and M.Tanaka: "Crystal Structure analysis of the low temperature phase of SrTiO_3 by convergentーbeam electron diffraction" Acta. Cryst.
-
[Publications] 田中 通義(三宅 静雄 編): "実験物理学講座21「電子回折・電子分光」" 共立出版, 560 (1991)
-
[Publications] 田中 通義(日本電子顕微鏡学会関東支部 編): "先端材料評価のための電子顕微鏡技法" 朝倉書店, 382 (1991)