1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02403004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 悠 九州大学, 理学部, 教授 (20022626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 茂男 九州大学, 理学部, 助手 (30225867)
甲斐原 梢 九州大学, 理学部, 助手 (90080564)
中原 辰雄 九州大学, 理学部, 助手 (20037211)
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Keywords | 疎水相互作用 / 球状蛋白質の安定性 / 水素イオン滴定 / 両親媒性物質 / オレイン酸 / 混合ミセル |
Research Abstract |
1.還元リゾチ-ムと非イオン界面活性剤の相互作用。ヘキサエチレングリコ-ルーnードデシルエ-テル(C_<12>E_6)の還元リゾチ-ムへの吸着量を透析平衡を行ない外液の濃度決定から求めた。吸着等温線は臨界ミセル濃度の近傍で急激に増加するFreundlich型であった。また円二色性(CD)の変化から界面活性剤の結合に伴ない立体構造の変化が起こることも見出した。この変化は主鎖については生状態へ近づく変化であったが側鎖については殆ど変化はなかった。親水鎖長が異なるC_<12>E_8の還元リゾチ-ムへの吸着等温線もC_<12>E_6の場合と同様にcmc近傍で急激に増加する。このことはEO鎖とポリペプチド鎖の相互作用(水素結合など)が予想通り無視できることを示している。 2.オレイン酸の水素イオン滴定。添加塩存在下の水素イオン滴定を行ない可逆的な滴定曲線を得る条件を初めて確立した。その結果可逆的滴定曲線は酸滴定曲線と一致することを見出した。又オレイン酸の融点以下の温度の滴定曲線は飽和脂肪酸の場合と同様一定pH領域が二つ現れることで特徴づけられるが融点以上の温度では一定pH領域がひとつしか現れないこと、この一定pH値は温度(40℃と25℃)やイオン強度(0.1Mと10mM)に依存しないことを見出した。温度の効果については、cmcやカルボキシル基のpKaなどの温度依存性が小さいことから理解できる。イオン強度の効果からは一定pH域では析出相が酸性セッケン相であることが示唆される。 3.非イオン性ーイオン性混合ミセル。ドデシルジメチルアミンオキシド(DDAO)の0.1M Nacl中でのミセルの会合数m(光散乱法による)は、イオン化に伴って非イオン性ミセルの場合の値m_oより増加し、イオン化度(α_M)が0.5付近で最大m/m_o〜3に達し、それ以上のイオン化に伴って減少する。散乱光強度からcmcを求めると、これはイオン化とともに減少し、α_M〜0.5で極小値をとりそれ以上のイオン化に伴って再び増加した。又イオン性ミセルは会合数、cmcとともに非イオン性ミセルと余り異ならないという結果が得られた。cmcのpH依存性は水素イオン滴定の結果から矛盾なく解析できたが会合数のpH依存性は新しい情報を与えるもので、その理解のためには新しい分子模型を必要とする。極性基間水素結合によるイオン性種ー非イオン性種二量体形成が示唆される。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Kazuhiro Fukada: "Correlation between the Rate of Chain Folding and the Stability of the βーStructure of a Polypeptide" Journal of Physical Chemistry. 94. 3843-3847 (1990)
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[Publications] Kenta Ooi: "Analysis of pH Titration Data in a λーMnO_2+LiOH System on the Basis of Redox Mechanism" Langmuir. 6. 289-291 (1990)
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[Publications] Tatsuo Nakahara: "Regional Distribution of DNA and RNA in Rat Brain:A Sensitive Determination Using HighーPerformance Liquid Chromatography with Electrochemical Detection" Neurochemical Research. 15. 609-611 (1990)
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[Publications] Hiroshi Maeda: "Enhanced Polymer Transport due to the Presence of Salts in Multicomponent Convection" Chemistry Letters. (1991)
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[Publications] Takashi Nezu: "Phase Separation Coupled with Gelation in Polyethylene GlycolーGelatinーAqueous Buffer System" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 64. (1991)
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[Publications] Shigeo Sasaki: "Drag Reduction Effect of Rodーlike Polymer Solutions.I Influence of Polymer Concentration and Rigidity of Skeletal Back Bone" Journal of Physical Society of Japan. 60. (1991)
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[Publications] 前田 悠: "ベ-タ構造,ー蛋白質と合成ポリペプチドー" 蛋白質核酸酵素. 35. 843-851 (1990)
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[Publications] 前田 悠: "ポリペプチドのベ-タ構造" 蛋白質核酸酵素. 35. 836-842 (1990)
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[Publications] 前田 悠: "コロイド系の水素イオン滴定" 表面. 28. 313-327 (1990)
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[Publications] 前田 悠: "ホモポリペプチド鎖のβ構造形成の速度論" 生物物理. 30. 169-174 (1990)
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[Publications] 分担執筆§3ー1ー2 前田 悠: "新生化学実験講座 第3巻 糖質II" 東京化学同人,