1992 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌を利用したタンパク質の温度適応の分子的機構
Project/Area Number |
02403029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大島 泰郎 東京工業大学, 生命理工学部, 学授 (60167301)
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Keywords | 好熱菌 / 耐熱化分子設計 / 耐熱酵素 / キメラ酵素 / 進化分子工学 |
Research Abstract |
平成4年度も研究は以下のようにほぼ計画通り順調に進捗した。計画通り進まなかったのは超好熱菌酵素の分子クローニングのみで、現在遅れを通り戻すベく努力中である。 1.作年度までに獲得した耐熱化変異キメラ酵素2T2M6T/I93L、2T2M6T/S82R、2T2M6T/A174Vのそれぞれについて、構造を解析し、耐熱化の機構を明らかにした。I93Lは疎水性コア内部における2種の立体障害(イソロイシンの側鎖とphe-52のベンゼン核の近接と、4位と5位の炭素間の回転角が異常なため生ずる側鎖の炭素間の障害)が共に解消されることが耐熱化の原因である。S82Rでは、水分子を介した新たな水素結合の形成が、A173Vでは一回り大きな側鎖が空隙を埋めることが、それぞれ耐熱化の機構と分かった。 2.キメラ酵素2T2M6Tは、特定の条件の下で熱変性反応が2段階に進行することを見出した。各段階はドメンイの変性に対応し、最初に第1ドメインが、ついで第2ドメインが変性する。さらに、第1ドメインのみが変性した状態の中間体を安定に取り出すことに成功した。中間体はダイマーで存在する。この事実は作年度までに推定してきた「高度好熱菌酵素の異常な熱安定性はサブユニット間の結合が堅いことが一因」という仮説に合致する。 3.大腸菌酵素を上記仮説にしたがってサブユニット結合面のアミノ酸配列を高度好熱菌型に人工変異し、熱安定性が向上することを確かめた。 4.進化分子工学手法により、さらに多くに耐熱化酵素遺伝子を取得した。SSCP法により遺伝子構造を解析し、いくつかは既に解析の終わったI93L,A173Vであると分かったが、残りは新しい変異体と判断された。構造は解析中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 桐野 裕美,山峯 明彦: "酵素の耐熱化設計" 蛋白質・核酸・酵素. 37. 335-345 (1992)
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[Publications] Katsumi IMADA: "Thtee-dimensional structure of a Highly Thermostable Enzyne,3-Isopropylmate Dehydrogenase of Therms thermophilus at 2.2A Resolution" J.Mol.Biol.222. 725-738 (1991)
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[Publications] Satoru KONSO: "Positive Selection for Uracil Auxotrophs of the Sulfur-Depensent Thermphilic Archaebacterium,Sulfolobus acidocarius by Use of 5-Fluoroorotic Acid" J.Bacteriol.173. 7698-7700 (1991)
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[Publications] Kentaro MIYAZAKI: "Molecular cloning of the isocitrate dehydrogenase gene of an extreme theomophile,Thermus thermophilus HBB" Appl.Environ.Mocrobiol.58. 93-98 (1992)
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[Publications] Masahiro SAKURAI: "Crytallization and preliminary X-ray studies of a Bacillus subtilis and Thermus thermophilus HBB chimeric 3-isopropylmalate dehydrogenase and thermostable mutants of it" J.Biochem. 112. 173-174 (1992)