1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02404002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
五條堀 孝 国立遺伝学研究所遺伝情報研究センター, 教授 (50162136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 悦子 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (20210198)
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Keywords | エイズウイルス / 塩基配列デ-タ / 分子進化 / 系統樹 / 遺伝子組換え / 塩基置換 / 未来進化 / ウイルス感染 |
Research Abstract |
DNAデ-タバンク(DDBJ、Gen Bank,EMBL)・タンパク質デ-タバンク(PIR)より、エイズウイルス、B型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、成人T細胞白血病ウイルスの塩基配列デ-タを多数収集した。これらの収集されたデ-タを分子進化学的解析に用いることが可能なように、ワ-クステ-ション上で整理して、フラットファイルとしてのデ-タベ-スを構築した。エイズウイルスに注目して、各遺伝子ごとに塩基配列デ-タから、分子系統樹を作成した。その結果,アフリカミドリザルから単離されたウイルスSIVagmのみが、分子系統樹の進化的位置において、遺伝子ごとに変化することを発見した。このことから.ヒトエイズウイルスの起源はSIVagm様エイズウイルスにある可能性が示唆されるとともに、ヒトエイズウイルスに至る進化的経路において、複数回の遺伝子組換えが祖先エイズウイルスに起こったものと考えられる。また、ヒトエイズウイルスの外膜タンパクの遺伝子であるenvにおいて、塩基置換パタ-ンを分子系統樹から推定した。その結果、env遺伝子においては.塩基Aと塩基Gとの間の塩基置換が極端に高く発生していることが判った。同様の解析を、env以外の遺伝子であるgagについても行なったところ、同じような結果を得た。このことは.エイズウイルスゲノムにおいて、AとGの塩基置換が一般に高頻度で発生していることを意味する。 以上の本年度の研究成果から、エイズウイルスにおける未来進化を考える場合、これからもAとGの塩基変化が多数発生することが理論的に予測できたものと考える。また、遺伝子組換えも時として起こり.その際.宿主の特異性を乗りこえて.新種のエイズウイルスとして進化する可能性も強く示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Gojobori,T.: "Evolutionary origin of human and simian immunodeficiency viruses." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 87. 4108-4111 (1990)
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[Publications] Ina,Y.: "Molecular evolution of human Tーcell leukemia virus." J.Mol.Evol.31. 493-499 (1990)
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[Publications] Gojobori,T.: "Molecular clock of viral evolution,and the neutral theory." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 87. 10015-10018 (1990)
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[Publications] Moriyama,E.N.: "Molecular evolution of human and simian immunodeficiency viruses." New Aspects of the Genetics of Molecular Evolution.291-302 (1991)
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[Publications] Miura,T.: "Establishment of a phylogenetic survey system for AIDSーrelated lentiviruses and demonstration of a new HIVー2 subgroup." AIDS. 4. 1257-1261 (1990)
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[Publications] Moriyama,E.N.: "Mutation pattern of human immunodeficiency virus genes." J.Mol.Euol.
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[Publications] Gojobori,T.,and E.N.Moriyama(Eds.J.F.Crow and N.Takahata): "Molecular phylogeny of AIDS viruses and its application to vaccine development.In:Population Biology of Geres and Molecules." Baifuーkan, (1990)
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[Publications] Gojobori,T.,E.N.Moriyama,and M.Kimura(Ed.R.F.Doolittle): "Statistical method for estimating seguence divergence.In:Methods in Enzymology." Academic Press,Inc.Orlando,Florida, (1990)