1991 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン及びリグナン生合成の遺伝的・生化学的調節機構の解明
Project/Area Number |
02404015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 幹夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 俊明 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (80151926)
黒田 宏之 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (00115841)
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Keywords | リグニン / リグナン / 生合成 / エナンチオ選択的カップリング / キラルHPLC / リグナン生合成酵素遺伝子 |
Research Abstract |
リグナンとリグニンは、共にケイヒ酸経路を経て生合成され、化学構造も類似しているが、光学活性に関しては、全く異なっている。即ち、リグナンは光学的に活性であるのに対して、リグニンは光学的に不活性である。従って、リグナンの生合成機構を解明するには、生成物(リグナン)のエナンチオマ-の組成比を簡便に知ることが必要不可欠である。この目的のために、本研究に於いては、各種のラセミ体リグナンを合成し、それらのエナンチオマ-同士をキラルHPLCで分離する条件を確立した。 また、季節を問わず材料を得るために、ちょうせんれんぎょうの培養系を検討した。得られた実験系は、リグナン類を比較的高濃度で産生する事が確認された。しかしながら現時点では大量懸濁培養系が確立されてない。 遺伝子レベルの研究としては、昨年度得たフェニルアラニンアンモニアリア-ゼ(PAL)遺伝子断片から、リグニン或いはリグナンに特異的なPAL遺伝子を特定することは原理的に困難(どちらの場合も生成物はケイヒ酸)である。現在、光学的に活性なリグナンの生成に関与する遺伝子とその遺伝子産物にタ-ゲットを絞り、研究を進めている。コニフェリルアルコ-ルからリグナン(セコイソラリシレジノ-ル)の試験管内生成は、カップリングと還元反応が関与する。この過程に関与する遺伝子産物を電気泳動及び酵素精製によって検討した。その結果、異なる遺伝子産物が関与している可能性が強く示唆された。この遺伝子産物のアミノ酸配列の情報を得ること、調製済みのcDNAライブラリ-からこれらの情報をもとに特定の遺伝子を釣り上げることなどが今後の課題である。 さらに、これらの精製酵素画分によるリグナン生成のエナンチオ選択性につき、上述のキラルHPLCシステムによって検討中である。
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[Publications] H.Kuroda,T.Umezawa,T.Isohata,T.Higuchi,and M.Shimada: "A Peroxidase gene in relation to lignan biosynthesis,in “Biotechnology in Pulp and Papaer Industry"" Uni Publisher,
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[Publications] T.Umezawa,T.Isohata,H.Kuroda,T.Higuchi,and M.Shimada: "Chiral HPLC and LCーMS analysis of several lignans,in “Biotechnology in Pulp and Paper Industry"" Uni Publisher,