1991 Fiscal Year Annual Research Report
フラクチャ-フリップ法とフラクチャ-フリップ細胞化学による細胞膜巨分子構築の解析
Project/Area Number |
02404020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 和 京都大学, 医学部, 講師 (50159125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 眞弘 京都大学, 医学部, 助手 (40183363)
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Keywords | フラクチャ-フリップ / フラクチャ-フリップ細胞化学 / 細胞膜 / 赤血球 / スペクトリン / バンド3蛋白 |
Research Abstract |
フラクチャ-フリップ法は、凍結割断によって露出された細胞膜の疎水性部分を炭素蒸着することによって、細胞膜を物理的に固定し、細胞を融解、洗浄後、炭素固定された細胞膜を電顕用グリッドに回収し、再びその親水性表面に白金蒸着を行い、電顕下で観察するものである。本方法は簡便かつ高分解能観察を可能にしたが、原則的に細胞膜外側表面の観察に限られる。本年度、我々は、本法に界面活性剤TritonーXを併用した Fractureーflip/Triton法でヒト赤血球膜細胞質側表面の観察と内在性膜蛋白Band3の免疫細胞化学的検索を行った。材料と方法:ヒト新鮮赤血球を急速凍結、-120℃で凍結割断し、炭素蒸着を行った。蒸着試料をHepes緩衝2%TritonX-100で室温、30分処理した。処理後、同緩衝液で洗浄、グルタルアルデヒド固定を行い、蒸留水で洗浄した。試料を電顕用グリッドに回収、急速凍結、凍結乾燥した後、細胞膜表面に一方向ないしは低角度回転白金蒸着を行った。コロイド金標識法によるスペクトリンとバンド3の免疫染色はTriton処理後に行った。 結果:同一レプリカ膜で、多数の赤血球膜の外側および内側表面の観察が可能であった。内側表面にスペクトリンの免疫反応陽性の網目状構造が明瞭に観察された。炭素蒸着膜をTriton処理に引き続き、アルカリ溶液等で処理した試料では、網目状構造が消失し、細胞質側真表面が観察された。赤血球膜外側表面が比較的平滑であるのに比べて、細胞質側真表面には直径8ー10nmの膜粒子が多数存在し、一部の粒子にバンド3の免疫コロイド金の標識が認められた。以上の結果は凍結割断、炭素蒸着されたmembrane halvesは細胞膜の形態学的観察のみならず抗原性の残存に優れていることから、膜蛋白の細胞化学的観察に良好な試料であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Fujimoto,K.: "Fractureーflip and fractureーflip cytochemistry to study macromolecular architecture of membrane surfaces:Practical procedures,interpretation and application." Acta histochemica et cytochemica. 24. 111-117 (1991)
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[Publications] 藤本 和: "細胞膜表面構造解析のためのフラクチャ-フリップ法" 医学生物学電子顕微鏡技術研究会会誌. 5. 45-49 (1991)
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[Publications] 藤本 和: "細胞膜表面微細構造研究のためのフラクチャ-フリップ(Fractureーflip)法の実際" 電子顕微鏡. 26. 226-230 (1991)
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[Publications] Fujimoto,K.: "Fractureーflip/TritonーX reveals the cytoplasmic surface of human erythrocyte membranes." Acta histochemica et cytochemica.
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[Publications] Fujimoto,K.: "Freezeーfracture cytochemistry and fractureーflip cytochemistry.In“Electron microscopic cytochemistry and Immunocytochemistry in Biomembrane." eds.by T.Barka and K.Ogawa CRC Press Co.,Boca Raton,FL,