1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02404027
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁司 自治医科大学, 医学部, 助手 (50221817)
猪原 直弘 自治医科大学, 医学部, 助手 (60232576)
太田 成男 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00125832)
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Keywords | ATP合成酵素 / 転写制御 / 協調発現 / サブユニット構成 / 転写因子 / ミトコンドリア / F_1・ATDアーゼ |
Research Abstract |
細胞活動の基本であるエネルギー産生系の代謝調節は生体の反応系のなかでは最も変動量が大きく、変動速度も大である。そこで本研究では細胞の全体のエネルギー状態の検出機構を知ろうとするものである。人体細胞のエネルギー産生は短期的には呼吸調節能によるが、長期的にはミトコンドリアを中心とする諸タンパク質の合成と構造形成によっている。酸化的リン酸化の要素の構造遺伝子だけが、核DNAの他にミトコンドリアDNAの支配も受けている。その形成の制御はおもに核DNAの転写制御と推定され、ミトコンドリアDNA側では特有の翻訳制御が中心と考えられている。本年度はATP合成酵素のαとγサブユニットのgenomic DNAの構造を決定し、すでにこれを決定した同酵素β-サブユニット、ピルビン酸脱水素酵素、それにミトコンドリアのDNAの転写と複製の制御因子であるmtTF1のgenomic DNAの構造と併せて制御部分の解析を進めた。すでにATPase活性にはαβサブユニットのみで十分であることを当研究室で報告した。γはじめ、低分子量のサブユニットは調節に作用している可能性が予想された。γサブユニットの遺伝子には10個のエキソンが存在するが、alternate splicingによって、第9エキソンを含む肝臓型と、それを欠く節肉型の2種があることを発見した。これに対してαサブユニットには従来報告されたようなisoformは存在しないことが判った。これらαβγの上流には共通のシス要素が多く発見された。特に分析の進んだβを中心にCATアッセイ法、ゲルシフト法、フットプリント法などを併用して、その機能を解析した。さらにmtTF1にもalternate splicingによって長短2種のisoformが存在することを知り、ミトコンドリアDNAを除いたρ゚株を用いてその意義を検討した。成果はNew York科学アカデミー、第6回アジア太平洋生化学会議,日米科学協力で発表され、成果の一部はAnn.Rev.Biochem.61巻1175(1992)で評価された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kagawa,Y.,Ohta,S.,Hawada,M.,et al.: "The α3β3 and α1β1 complexes of ATP synthase." Annals of New York Academy of Science. 671. 366-376 (1992)
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[Publications] Tominaga, K.,Akiyama,S.,Kagawa,Y.,et al.: "Upstream region of a genomic gene for human metochondrial transcription factor 1." Beochim.Biophys.Acta. 1131. 217-219 (1992)
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[Publications] Kamata,H.,Akiyama,S.,Kagawa,Y.,er al.: "Primary structure of the alanine carrier protein of thermophilic bacterium PS3." Journal of Biologistry. 267. 21650-21655 (1992)
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[Publications] Kagawa,T.,Ohta,S.: "Mitochondrial myopathy and transcriptional control." Med.Sports Science. 37. 324-328 (1992)
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[Publications] Kagawa,Y.,Ohta,S.,Harada,M.,er al.: "The αβ comolexes of ATP synthase:The α3β3 oligomer and α1β1 protomer." Journal of Bioenerhetics and Biomebrane. 24. 441-445 (1992)
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[Publications] Masai,J.,Shibata,T.,Kagawa,Y.,er al.: "Imaging of subunit complexes of thermophilic bacterrium H^+r-ATPase with scanning tunneling microscopy." Ultramicroscopy. 42-44. 1194-1199 (1992)
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[Publications] 香川 靖雄: "生体膜と疾患の分子生物学" 南山堂, 577 (1993)
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[Publications] 香川 靖雄: "エネルギーの生産と運動 分子生物科学5巻岩波講座" 岩波書店, 189 (1993)