1990 Fiscal Year Annual Research Report
半導体製造における液体有機材料の生体影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
02404035
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桜井 治彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 徹 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (50153846)
大前 和幸 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (60118924)
|
Keywords | 半導体 / テトラエトキシシラン / 毒性 / 動物実験 / 有機液体珪素化合物 |
Research Abstract |
1、実験装置の製作 引火点が比較的低く健康影響が不明な半導体製造用液体有機材料を取り扱うため、現存する曝露チャンバ-の改造、有機溶剤発生装置の改良および新設、曝露チャンバ-の新設を行い、曝露濃度曝露モニタ-用ガスクロマトグラフを組合わせて、吸入曝露システムを構築した。 2、半導体製造用有機液体珪素化合物投与実験 (1)テトラエトキシシラン腹腔内投与実験 VLSI製造に使用され始めた有機液体珪素化合物テトラエトキシシラン(以下TEOS)の、ICRマウス腹腔内投与実験を行い、病理組織学的、生化学的検査を実施した。その結果、TEOSのLD_<50>は700mg/kg・体重前後、標的臓器は腎臓、脾臓であることが明らかになった。 (2)TEOS吸入曝露実験 ICRマウスを用い、TEOSの1,000ppm1時間・2時間・4時間・8時間曝露実験、および200ppm2週間・4週間吸入曝露実験をおこない、病理組織学的、生化学的検査を実施した。その結果、1,000ppm2・4・8時間曝露ではそれぞれ10・10・60%の死亡が観察され、腎臓・脾臓での病理学的変化が観察され、鼻腔粘膜所見から強い刺激性が示唆された。200ppm曝露では死亡例は観察されなかったが、腎臓の病理学的変化が観察された。 (3)有機液体珪素化合物腹腔内投与実験 TEOSと構造類似の、テトラメトキシシラン、テトラプルポキシシラン、テトラブトキシシランについて、ICRマウス1,000mg/kg・体重の腹腔内投与実験を行った。毒性の強さは、テトラメトキシシラン>TEOS>テトラプルポキシシラン・テトラブトキシシランの順であり、テトラメトキシシランでは腎、脾に非常に強い病理学的変化がみられた。
|
-
[Publications] 中島 宏、酒井 徹、山崎 一人、大前 和幸、桜井 治彦: "Tetraetoxysilane(TEOS)腹腔内投与後のマウス臓器の病理組織学的検討" 産業医学. 33. (1991)
-
[Publications] 中島 宏、大前 和幸、酒井 徹、桜井 治彦、山崎 一人: "テトラエトキシシラン(TEOS)の生体毒性Iーマウス腹腔内投与実験ー" 日本衛生学雑誌. 46. (1991)
-
[Publications] 酒井 徹、大前 和幸、中島 宏、桜井 治彦、山崎 一人: "テトラエトキシシラン(TEOS)の生体毒性IIーマウス吸入曝露実験ー" 日本衛生学雑誌. 46. (1991)
-
[Publications] 大前 和幸、酒井 徹、中島 宏、桜井 治彦、山崎 一人: "ケイ酸エステル類の毒性ーマウス腹腔内投与実験ー" 日本衛生学雑誌. 46. (1991)