1990 Fiscal Year Annual Research Report
局所麻酔薬及びカルシウム拮抗薬と吸入麻酔薬の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
02404062
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤森 貢 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60046919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 岳三 大阪市立大学, 医学部, 助手 (10217408)
西川 精宣 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20145791)
立川 茂樹 大阪市立大学, 医学部, 講師 (20128739)
|
Keywords | 局所麻酔薬 / カルシウム拮抗薬 / 吸入麻酔薬 / 中枢性抗不整脈作用 / 交感神経活動 / 刺激伝導系 |
Research Abstract |
全身麻酔中の交感神経刺激に起因する心筋の酸素需要・供給のアンバランスや不整脈出現を予防し治療を考える上で、吸入麻酔薬及び抗不整脈薬の相互作用を知り選択を決定する事は非常に重要である。全身麻酔中によく用いられる抗不整脈薬として局所麻酔薬リドカインやカルシウム拮抗薬のベラパミルが挙げられるが、局所麻酔薬ブピバカインは催不整脈性をもち、カルシウム拮抗薬でもジルチアゼムやニカルジピンは刺激伝導系に対する作用が異なる。本研究の目的は吸入麻酔薬とこれらの薬剤の(中枢神経を介した)交感神経系、刺激伝導系、心筋代謝への相互作用、特に中枢性抗不整脈作用(あるいは催不整脈作用)の有無を明らかにすることである。 平成2年度は神経生理学的検討を中心に行った。猫を用い胸骨正中切開、心嚢切開を行い、電気刺激装置を用いて右房ペ-シングとHis束心電図の導出を行い、左心臓交感神経の活動もサ-マルアレイレコ-ダ-上に記録した。吸入麻酔薬はハロセン1MAC,2MAC,3MACを、抗不整脈薬はリドカイン2mg/kgを用いて心臓交感神経活動の変化と刺激伝導系への影響を正常心モデルで検討した。心臓交感神経活動はハロセン濃度依存性に抑制され、3MACではほぼノイズレベルにまで抑制された。右房ペ-シング時(200bpm)のAtrialーHis伝導時間(AーH)は延長傾向であった。リドカイン2mg/kgの静脈内投与により心臓交感神経活動は更に抑制(ハロセン3MACを除く)され、AーH,全心室伝導時間は延長した。ハロセンとリドカインの相互作用で心臓交感神経活動は抑制されることが証明された。右星状神経節切除・一時的冠動脈狭窄を作成し、定位脳固定装置で視床下部後部の昇圧野に刺入した電極の電気刺激・あるいはCO_2吸入により心臓交感神経活動を昂進させた猫の不整脈モデルでリドカインの実際の中枢性抗不整脈作用の有無を現在検討中である。
|