1990 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝における細胞間・細胞基質間の相互作用に関する細胞生物学的研究
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02404071
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小澤 英浩 新潟大学, 歯学部, 教授 (60018413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩彰 新潟大学, 歯学部, 助手 (50227930)
入江 一元 新潟大学, 歯学部, 助手 (70223352)
江尻 貞一 新潟大学, 歯学部, 助教授 (40160361)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / 細胞内Ca / レ-ザ顕微鏡 / 細胞骨格 / カルシトニン |
Research Abstract |
破骨細胞の骨吸収過程における細胞内Ca濃度の変化を明らかにする目的で以下の実験を行った。(1)カバ-ガラス上に載取した破骨細胞にCa蛍光指示薬を負荷し、細胞内Ca濃度をOLYMPUS OSPー3にて測定、その後カルシトニン(CT)、副甲状腺ホルモン(PTH)、プロスタグランジン(PGI_2)を作用させて細胞内Caの変動を測定した。その結果、破骨細胞中のCa濃度は無添加時には1.5-2.0×10^<-7>Mで、CTの添加により1.9-2.5×10^<-7>Mにまで上昇し、1分後にはCT添加前の状態に戻った。この結果は、破骨細胞のCTレセプタ-に結合しCTにより、一過性に細胞内Caの高められるが、その効果は直ちに失われ破骨細胞機能が回復する可能性を示唆している。一方、PTH.PGI_2では細胞内Caの変動は認められなかった。(2)骨に付着している破骨細胞について細胞内Ca濃度をOLYMPUSーCASARUSにより2次元的に測定し、次いでカルシトニンによる細胞内Caの変動も測定したその結果、破骨細胞中のCaの濃度分布には差が認められること、骨基質に面した細胞質中のCaはCTによって減少するが、反対側の細胞質中のCa濃度はかなり長い時間減少しないことが明らかにされた。この現象は破骨細胞の骨吸収により遊離したCaが細胞内に取り込まれ、血管側へ送られて行く過程を明らかにしたものと考えられる。次いで、破骨細胞の機能変化と細胞骨格の変化を蛍光抗体法により、走査型レ-ザ共焦点生物顕微鏡OLYMPUS IMT2ー21ーCA3を用いて実験を行った。材料はウサギ長管骨より採取した破骨細胞を用い、カルシトニン(CT)処理群と未処理群に分けて実験を行った。1次抗体としてファロイジン、抗ビメンチン、抗チュ-ブリン抗体を作用させ、2次抗体としてロ-ダミンラベル抗マウス1gGを使用した。その結果、CTは破骨細胞の骨基質への付着や細胞運動に関係するアクチン線維と細胞形態保持に関係する中間径フィラメントの局在に著しい変化を生じさせることが明らかにされた。
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[Publications] 小澤 英浩: "骨芽細胞と破骨細胞の細胞連関。" ホルモンと臨床. 38. 415-421 (1990)
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[Publications] 小澤 英浩: "骨改造現象における細胞連鎖機構に関する細胞生物学的知見。" 新潟歯学会誌. 20. 1-17 (1990)
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[Publications] 小澤 英浩: "骨リモデリングの形態学。" 総合臨床. 39. 2539-2550 (1990)
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[Publications] Irie,K.and Ozawa,H.: "Relationships between tooth eruption,occlusion and alveolar bone resorption:Cytological and cytochemical studies of bone resorption on rat incisor alveolar bone facing enamel." Arch.Histol.Cytol.53. 497-509 (1990)
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[Publications] Irie,K.and Ozawa,H.: "Relationships between tooth eruption,occlusion and alveolar bone resorption:Histochemical and cytological studies of bone remodelling on rat incisor alveolar bone facing enamel after root resection." Archs.Histol.Cytol.53. 511-522 (1990)
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[Publications] 小澤 英浩: "骨芽細胞と破骨細胞のCellーCell,CellーMatrlx Interactionの形態学的知見。" 日本骨代謝学会誌. 9. 1-8 (1991)
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[Publications] 安田 寛基等編,小澤 英浩: "各種硬組織における基質・細胞間、基質・基質間等界面領域の形態学的特徴。「バイオサ-ファクタント」" サイエンスフォ-ラム社, 464 (1990)
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[Publications] 尾形 悦朗編,小澤 英浩: "骨改造における骨吸収と骨形成のカップリング現象に関する細胞生物学的知見。「骨粗鬆症研究の進歩」" トプコ出版部, 137 (1990)