1991 Fiscal Year Annual Research Report
バクテロイデス・ジンジバリスの産生する生物活性物質の性質とその歯周病病原性
Project/Area Number |
02404078
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 亮 徳島大学, 歯学部, 教授 (30034169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 順子 徳島大学, 歯学部, 教務員 (10170945)
一宮 斉子 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (30223845)
日野出 大輔 徳島大学, 歯学部, 助手 (70189801)
永田 篤司 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (70228021)
佐藤 誠 徳島大学, 歯学部, 助教授 (10126229)
|
Keywords | バクテロイデス・ジンジバリス / 病原因子 / 赤血球凝集因子 / 赤血球表面レセプタ- / バンド3タンパク |
Research Abstract |
本年度は、Bacteroides gingivalis の特徴的な性質の一つであり、病原因子として考えられている赤血球凝集因子(HA)を中心に研究を進めた。特に、HAに対する赤血球膜上のレセプタ-については全く知られていないため、レセプタ-蛋白を検索することを主目的とした。 本研究に使用したHAは、B.gingivalis381の培養上清からアセトン分画、ゲル濾過及び緬羊赤血球ゴ-ストに対するaffinity adsorptionによって分離調製したものである。その結果、1)精製したHAの活性は、アルギニンやアルギニンを含むペプチドにより阻害を受け、アルギニン残基をフェニルグリオキサ-ルで修飾した赤血球は凝集能が低下した。2)HAそのものも強いトリプシン様酵素活性を示し、各種の合成ペプチドを用いた実験では、HAによりよく分解を受ける物質ほど強い凝集阻害を示す傾向が認められた。3)赤血球表面をHA、キモトリプシンで処理するとHA処理した赤血球は凝集能を失い、SDSーPAGE上で、バンド3が共通して消失していた。このことからバンド3がレセプタ-蛋白である可能性が示唆された。4)分取用SDSーPAGEにより精製したバンド3蛋白はHA活性を強く阻害し、さらに、本蛋白の菌体に特異的に結合した。スキャッチャ-ド分析により、解離定数は7.7×10-8M、菌体1個あたりの結合部位数は約9,000個と算出された。 これらの結果から、バンド3蛋白がHAのレセプタ-蛋白になっていると考えられ、なかでも赤血球膜上のアルギニン残基が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに、凝集発現機序として酵素ー基質複合体の形成が関与している可能性が示唆された。 現在、B.gingivalisより精製した各種蛋白分解酵素やHA、その他の膜構成成分等の病原因子による歯周組織に対する直接的な傷害性ならびに毒性を検討中である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 日野出 大輔,永田 篤司,林 祐行,嶋田 順子,佐藤 誠,中村 亮: "Bacteroides gingivalis由来の3種のプロテア-ゼによる生体タンパク質の分解特異性。" 口腔衛生学会雑誌. 40. 584-585 (1990)
-
[Publications] 寺井 浩,日野出 大輔,萬好都 美恵,永田 篤司,佐藤 誠,中村 亮: "成人型歯周炎患者の歯肉溝浸出液中トリプシン様酵素活性と遊離アミノ酸含量について。" 口腔衛生学会雑誌. 41. 301-306 (1991)
-
[Publications] Hinode,H.,Hayashi,H.and Nakamura,R.: "Purification and characterization of three types of proteases from culture supernatants of Porpyyromonas gingivalis." Infection and Immununity. 59. 3060-3068 (1991)
-
[Publications] 日野出 大輔,林 祐行,嶋田 順子,萬好都 美恵,中村 亮: "Porphyromonas gingivalisの産生する非トリプシン様酵素の性状。" 口腔衛生学会雑誌. 41. 478-479 (1991)
-
[Publications] Hinode,D.,Nagata,A.,Hayashi,H.,Shimada,J.Sato,M.and Nakamura,R.: "Degradative specificity of three proteases from Porphyromonas gingivalis on mammalian protein." Dentistry Japan. 28. 121-124 (1991)
-
[Publications] Hayashi,H.,Nagata,A.,Hinode,D.,Sato,M.and Nakamura,R.: "Survey of a receptor protein in human erythrocytes for hemagglutinin of Porphyromonas gingivalis." Oral Microbiology and Immunology. 7. (1992)
-
[Publications] Hayashi,H.,Morioka,M.,Sato,M.and Nakamura,R.: "Monograph for the Third World Congress on Preventive Dentistry(WCPD '91)" 3rd WCPD,Fukuoka,Japan, (1991)