1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451019
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小島 秀夫 茨城大学, 教育学部, 助教授 (50111349)
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Keywords | パネル調査 / 教師の社会化 / 予期的社会化 / 態度変容 |
Research Abstract |
専門職意識形成過程の研究のテ-マの下で三種類の調査が実施された。その一つは、茨城大学卒業生に対するパネル調査であり、他は茨城県内の一般教員と小・中学校の管理職者全員に対する調査である。茨城大学卒業生に対する調査は、学生の時に調査をし、現在教職についている者に対して調査をしたものである。このように学生の時に調査をし、同一個人に対して教職についた時に調査を実施したのは、わが国において初めての試みである。この調査を分析することによってさまざまな情報が得られるが、ここでは良い教師であるための条件について報告することとする。この質問は「次に示されているそれぞれの特性は、良い教師であるためにどの程度重要であると、あなたは思いますか」というものであり、項目として「専門的な知識をもつこと」「性格が明るいこと」など16項目を準備し、それぞれの項目について「非常に重要である」から「まったく重要でない」の5段階の中から一つを選択してもらった。同じ質問が学生の時の調査でもなされており、それと現在のとを比較することによって態度変容が明らかにされる。その結果、学生の時と現在でそれほど大きく変化していない特性としては「子供に対する関心が高いこと」「健康であること」「人間の可能性を信じること」などであることが明らかにされた。反対に現在と学生の時とで大きな変化がみられる特性としては「目上の人に従順なこと」「事務的能力にすぐれること」「絵や歌がうまいこと」「人の世話をすすんでやること」などであることが明らかにされた。したがって教師の社会化過程としては、より理念的な特性はすでに学生時代に社会化されており、教職についてからはより実際的な特性についての社会化が行われることが明らかにされる。こうした点は、教師の予期的社会化を扱う教員養成のカリキュラム等にも現実的な問題を提起するものと考えられる。
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