1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451022
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
犬塚 先 千葉大学, 教養部, 教授 (70009752)
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Keywords | 労働組合 / 意思決定 / 組織構造 |
Research Abstract |
平成2年度は、単組を対象として調査研究を実施したので、以下に、単組における意思決定の特徴点を明らかにする。 1組織構造と運営 組織構造のひとつの側面として、活動の決定、執行権がどのように組織内部で配分されているか、つまり集権ー分権という軸を設定した。職場の自律性、および企業連への集中度は、業種に依る違いが大きい。小規模な組合では、職場が執行の単位となっており、従って自律度は大きい。 全体として、分権度を示す要因との関係と言うよりは、運営スタイルを示す要因相互間で関連性を持つ。つまり異なった意見の対処、組合員の意向集約、職場活性度に関して、民主的な志向を持つ組合は、これらすべての項目について同様な性格を持つ。つまり、どれか一つと言うのではなく、民主的な組合は全てにわたって高い水準を示しているのである。 2意思決定の性格 集権ー分権のタイプとの違いは、相関関係はなかった。関連性は、主として組合組織内部の活動スタイルが相関している。つまり意思決定それ自体が組合活動の重要な一部となっている。 3組合のもつ影響力 以上の結果をまとめると、次の様に言える。労働組合、単組の意思決定の状況では、組織の分権度、つまり構造は、組合の意思決定のパタ-ンとあまり関係を持たない。それよりも、運営面での民主度合いが対外的側面、つまり経営との関係に於いて違いを現わしており、民主的運営をとっている組合ほど、経営に対して大きな影響力を行使している。 他方、ヒアリング調査からの知見としては、労働組合はますます企業別に純化していく傾向にある。そして、その機能は、現時点において労働条件以外の生活、福利面に傾斜して行く傾向にある事を指摘しておく。
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