1990 Fiscal Year Annual Research Report
「老い」のイメ-ジを決する社会・文化的背景に関する研究
Project/Area Number |
02451030
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 修一 早稲田大学, 文学部, 助教授 (30106215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山嵜 哲哉 早稲田大学, 文学部, 助手 (40220298)
海野 和之 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (20203614)
森 元孝 早稲田大学, 文学部, 助教授 (50182209)
犬塚 先 千葉大学, 教養部, 教授 (70009752)
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Keywords | 「老い」のイメ-ジ / デ-タ・ア-カイヴ / 家父長制 / パタ-ナリズム / 長老支配 / 国際比較 |
Research Abstract |
「老い」の社会的性格づけが暦年齢の加算を発端とする一方で、優れて制度的・文化的事象であるということは大方が周知している。しかし「老い」の具体的な社会的認知の内容が、文化や制度あるいは時代背景の影響のもとにどのように形成されているかについての研究は必ずしも充分ではない。特に、こういった文化特性に大きく関わる事柄については様々な比較(たとえば、異なった時代の間での・世代の間での・異なった年齢集団の間での比較,そしてひいては国際的な比較)による研究が不可欠であるが、そういった比較研究は貧弱な水準にあるといってよいだろう。本研究は、老年研究におけるこういった現状を補完すべく計画されているのであるが、そのまず第一歩として異文化間の比較研究を可能とするためのデ-タ・ア-カイヴの作成を試みている。 本年度は、デ-タ・ア-カイヴを作成していくうえで必要な資料ならびにデ-タの構造を確定していくための研究資料を蒐集するとともに、異文化間の比較研究に有効なデ-タ・ア-カイヴの構造を検討した。当面の比較対象としては、英国と米国を予定しているのであるが(比較対象はさらに、アジア国の国々も含めて拡大していく計画である)、たとえば英国とわが国の間の比較については、次のような分析視角が有力な1つのアプロ-チとして想定できるであろう。それは、わが国と英国とを比較する際、「老い」のイメ-ジの形成と密接に関わっている「家父長制」(patriarchy)あるいは「パタ-ナリズム」(paternalism)という社会制度ならびに価値志向を手掛りに両国社会での老いイメ-ジの形成プロセスとその特性を探ぐっていくという視点である。すなわち、いずれの事象も「老人のもつ特性」を積極的に評価し、それによる社会制度の運営を目指す「長老支配」(gerantocracy)に一端であるが、英国ではすでに衰退しているが、わが国では依然として影響力があるのだ。
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Research Products
(1 results)