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1991 Fiscal Year Annual Research Report

「老い」のイメ-ジを決する社会・文化的背景に関する研究

Research Project

Project/Area Number 02451030
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

和田 修一  早稲田大学, 文学部, 教授 (30106215)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山嵜 哲哉  武蔵大学 人文学部, 講師 (40220298)
海野 和之  早稲田大学, 人間科学部, 非常勤講師 (20203614)
森 元孝  早稲田大学, 文学部, 助教授 (50182209)
犬塚 先  千葉大学, 教養部, 教授 (70009752)
Keywords老い / 老いのイメ-ジ / フォ-クロア- / 文化比較 / 歴史分析
Research Abstract

「老い」のイメ-ジ形成の文化的・社会的背景要因に、主として1)西ヨ-ロッパの文化・社会との比較パ-スペクティヴを用いて、2)わが国文化や社会構造の歴史的変化を中心に据えて、アプロ-チした。つまり、われわれのパ-スペクティヴは、異文化間比較という横断的比較と過去と現在の比較という歴史的縦断的比較、という2つの比較方法論に立脚している。老いるという事柄に対して形成される社会意識の構造を国際比較の視点からアプロ-チする際のひとつのポイントは、「老い」を「若さ」との相対認識の中でどのように位置づけるかである。たとえば、多くのヨ-ロッパ・アメリカの社会ではto stay youngということは一種の絶対価値を付与されており、そのための方策が老人対策の大きな柱とされている。しかしわが国においては、高齢者の優越的イメ-ジは「老親」イメ-ジである。つまり、わが国の高齢者は常に「親」役割を通して社会に統合されているのである。親は子どもに対して訓育・指導する存在であり、若さよりも成熟がより重視されるのである。このことがわが国高齢者の社会的位置づけに大きな影響力を与えているのである。歴史の中での高齢者のイメ-ジは、ひとつには大衆庶民の生活習俗(フォ-クロア-)の中で形成されてきた。この点でのわが国の「老い」イメ-ジの原型は、「翁」イメ-ジであろうと思われる。翁イメ-ジは宗教祭司との結びつきが強いのであるが、芸能分野での長老支配と成熟した技能への尊敬意識と不可分である。一方で、習俗の中には「姥捨て」とい側面もまた含まれることも看過できない。たとえば、今昔物語の中で姥捨ては、嫁姑関係との関わりで語られており、老いイメ-ジの陰の部分の根強い存在を指し示している。歴史的文脈での老いイメ-ジの形成は、一方で近代化の過程の中で強調された国家主義的儒教道徳に基づいて人為的・政策的にも形成されてきたことも重要である。

URL: 

Published: 1993-03-16   Modified: 2016-04-21  

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