1990 Fiscal Year Annual Research Report
平等化と序列化ー戦後高校教育の構造変動に関する社会学的研究ー
Project/Area Number |
02451033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 郁夫 東京大学, 教育学部, 教授 (50022398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 重雄 東京大学, 教育学部, 助手 (80174366)
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (90114389)
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Keywords | 高校教育 / 学校組織 / 構造変動 |
Research Abstract |
平成2年度は、主として先行研究の整理と基礎資料の収集、及び、平成3年度に行なう予定のフィ-ルド調査の府県の選定を行なった。 戦後の高校教育に関する研究は、比較的蓄績されているものの、戦後を一貫してその歴史的トレンドを分析したものはほとんどなく、戦後高校教育の構造変動は依然として明らかにされていない。また、戦後の学制改革を戦前の中等教育との比較で分析したものもなく、戦前と戦後の連続、不連続の問題も解明されてはいない。 ただ、いくつかの先行研究の整理と基礎資料の収集の過程において、1960年代、いわゆる高度経済成長期に高校教育システムが大きく変化したこと、それも、文部省の政策などではなく、様々な社会経済的要因によって意図せざる結果として起こったことは、ほぼ間違いないことが明らかになった。すなわち、中卆者の急増、高校進学率の上昇、第二次,三次産業化、ホワイトカラ-志向や大学進学志向の高まり、これらが相互に関連しあって、平等化を目ざした戦後高校教育は急速に序列的な構造をもつものへと変化していくのであった。 これを具体的にあとづけるために、いくつかの府県を対象とし、フィ-ルド調査を行なう予定である。ただ、変動のメカニズムは府県によってかなり異なることや、県当局の対応もバラエティにとんでいるため、府県の選定には慎重さが要求される。また、人々の意識の変化をどうやってとらえるか、ききとり調査、質問紙による調査など方法を考える必要がある。これらを課題として、平成3年度の研究に臨む予定である。
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