1990 Fiscal Year Annual Research Report
玄海灘をめぐる沿岸ならびに島嶼漁民社会の民俗形成とその特質
Project/Area Number |
02451045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高桑 守 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (60127769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 潮 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (40015897)
山本 隆志 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (50191416)
高田 誠 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (60000410)
田中 圭一 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (10207087)
牛島 巌 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (10091886)
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Keywords | 漁民社会の民俗形成 / 玄海灘海域漁民 / 寄留漁民と在浦漁民 / 民俗空間認識 / 海と山の相関 / 聖地の成立過程 |
Research Abstract |
本研究は平成2年度ならびに平成3年度の2年間にわたる計画の第1年度に関するものである。玄海灘城の漁民社会の民俗形成と特質を検討する目的で実施されたものであるが.平成2年度は対馬および五島両地区において調査を実施した,なかでも五島玉の浦,大宝両地区における調査研究により.在浦漁民による沿岸漁業と徳島、高知、南九州よりの寄留漁民による沖合漁業の異なる種別の漁業が近世後期より展開し、これからが競合ならびに協同するなかで、独自の地域形成、民俗形成が行なわれてきたことが判明した。 またこの地域における信抑体系は.オタメンバァの伝承に象徴されるように、海と山との相関に基づく多様な聖地とそれにまつわる伝承、行事を形成してきており、これらの分析を通して.漁民社会の信抑体系の一端を明らかにすることができたと考える。またこのことは地域社会の歴史的形成をながめるとき、聖地(森、塚、神社、寺院、墓地など)の成立過程や成立事情と密接に関係してくることが理解でき.民俗空間認識と地域の史的形成の相関の重要性が判明した。 さらに、沿岸海域を主たる漁労活動の場としてきた在浦漁民(四十八旦那を中心とした定置網漁業)と.男女群島や沖合海域を漁労活動の拠点として季節的に来住していた四国、南九州よりの寄留漁民(サンゴ,カワオ.マグロ.タイなどを対象)との間に海を中心とした生活や生業、環境に関する知識体系.言語体系に大きな相異を見い出すことができた。これらの成果をうけて、平成3年度は、この地区に調査を限定し、体系的に把握することを目指している。
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Research Products
(1 results)