1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 勝芳 東北大学, 教養部, 教授 (20002553)
花登 正宏 東北大学, 文学部, 助教授 (60107175)
鈴木 則郎 東北大学, 文学部, 教授 (30086087)
村上 哲見 東北大学, 文学部, 教授 (70005734)
安田 二郎 東北大学, 文学部, 教授 (90036666)
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Keywords | 東アジア / 指導者像 / 望 |
Research Abstract |
1.これまで東アジアの伝統社会における指導者像の研究にあたってきたが、専ら農村型指導者のイメ-ジ(特定地域に土着し、農本主義的儒教を信奉する郷望)の検討を中心としてきた。しかし戦国期以来分業の進展が著しい中国社会にあっては、農村共同体のみには包括しきれない別個の社会集団が存在し機能していることも看過できない。当時の忠実に即してみると、郷望型指導者像のみでは全体像を捉えきれないことが判る。今一つ豪傑型とも称すべき指導者タイプを導入する必要があろう。実際、漢の高祖や六朝の劉裕もその一例で、こうした例は枚挙にいとまがない。このような郷望型指導者と豪傑型指導者との対比により、新たな論点が惹起される。 2.いまこの郷望型と豪傑型とを敢えて大胆にステレオタイプ化して対比するならば、以下のようになる。郷望型は個別的自営農民からなる農村を基盤とし、その意味で閉鎖性を免れず、その基本的思想は、農本主義的儒教に帰する。それだけに、指導者としての資質は、伝統と教育に多くを負い、世襲性が極めて濃厚である。これに対して、豪傑型は非農村(都市)を主たる基盤とし、遠隔地商人・軍人・無頼の徒などが中心であり、基本的エトスは道教に傾斜する。郷望型指導者が、伝統と家学にもとづく広義の教育に負う所大きく、世襲的でありうるのに対して、豪傑型指導者の場合は、基本的に生来の力量、器量に負う所大であり、世襲性は拒まれる。 3.以上は主として中国の事例に基づく所見である。これが果して日本・朝鮮の伝統社会においても妥当するかどうかを検証することが今後の課題である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 山田 勝芳: "前漢謁者・中書・尚書考" 集刊東洋学. 65. 57-71 (1991)
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[Publications] 平田 茂樹: "南宋裁判制度小考ー『朱文公文集』卷百「約束榜」を手掛りとして" 集刊東洋学. 66. 133-147 (1991)
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[Publications] 三浦 秀一: "『真誥』〓安期本成立の時代的情況ー万暦の知識人と道教ー" 中国古道教史研究(論集). 511-564 (1992)
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[Publications] 山田 俊: "北宋・真宗の三教思想についてー「天書」と「清浄」ー" 東北大学日本文化研究所研究報告. 28. (1992)
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[Publications] 市來津 由彦: "廖徳明ー福朱熹門人徒学の一様態ー" 東北大学教養部紀要. 56. 83-106 (1991)
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[Publications] 村上 哲見: "姜白石詞序説" 日本中国学会報. 43. 153-170 (1991)
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[Publications] 中村 完: "朝鮮中世の民衆文化" 『中世史講座9 中世の生活と技術』(学生社). 148-161 (1991)
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[Publications] 吉田 忠: "江戸時代における西洋学問分類論の認識" (東北大学)日本文化研究所研究報忠. 28. (1992)
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[Publications] 玉懸 博之: "中世神道における国家と宗教ー慈遍の日本神国観をめぐってー" 『国家と宗教』(思文閣出版). (1992)
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[Publications] 鈴木 則郎: "『平家物語』における「一所懸命」の表現" 『日本文芸思潮論』(桜楓社). 804-819 (1991)
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[Publications] 荻生 茂博: "安積艮斎の思想ー幕末官学派における俗と超俗ー" 『国家と宗教』(思文閣出版). (1992)
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[Publications] 若尾 政希: "近世初期における「国家」と「仏法」ー「太平記読み」研究序説ー" 『国家と宗教』(思文閣出版). (1992)