1990 Fiscal Year Annual Research Report
自由市場制度との連関における「日本的特殊性」の批判的・実証的再検討
Project/Area Number |
02451078
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
飯田 経夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70022449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠谷 和比古 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (90124198)
柏岡 富英 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (40142591)
村上 泰亮 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80012293)
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Keywords | 自由市場制度 / 日本的慣行 / 日本の特殊性 / 近代化論 / 世界システム論 / 産業の興亡 |
Research Abstract |
国際的な舞台における日本のプレゼンスがますます顕著になる中で、その強大な経済力を支える諸条件を理解しようとする試みが数多くなされてきた。しかし、その多くは旧来の「近代化論」の域を脱せず、西洋型自由市場制度(ないしその理念型)そのものの再検討に向かうよりは、それを絶対的基準としたうえで日本の特殊性ないし「歪み」を強調する議論に終始してきた。以上の問題意識にたって、本年度は社会経済学的な立場から以下の諸点を考察してきた。 (1)理論的研究。自由市場制度にまつわる諸理念を根本的かつ批判的に再検討するため定期的な共同研究会を開催し、経済学、社会学、歴史学の立場から学際的討議を行った。とくに(a)飯田経夫(代表者)や村上泰亮(分担者)がこれまで発表してきた日本経済に関する著物の検討、(b)「近代化論」と「世界システム論」にみられる自由市場制度論の比較研究に重点をおいて、理論的立場と分析枠組みの確立をはかった。また「日本的慣行」と呼ばれるものの歴史的変還を考察した。 (2)統計資料の収集。労働経済論や組織論がこれまでに蓄積してきた統計資料(国内外を含む)を収集し、必要かつ可能なものはコンピュ-タ-に入力した。 (3)フィ-ルド・ワ-ク。近年とくに消長の激しかった「重厚長大」型産業の代表である鉄鋼産業の実状を調査するため、新日鉄八幡工場に赴いて、工場跡地の再利用、人員整理の実状、業種の拡大・転換などについて視察および聞き取り調査を行った。
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