1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和夫 京都大学, 工学部, 教授 (50025839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 光雄 京都大学, 工学部, 助教授 (30127097)
秋山 哲一 京都大学, 工学部, 助手 (30111917)
東樋口 護 京都大学, 工学部, 助教授 (50026366)
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Keywords | 建築企画 / 複合建築 / 社会的建築企画 / 建築行政 / 建築集団 |
Research Abstract |
I.個別建築行為における建築企画の調査研究 建築企画の重要性が強く認識されている複合建築物についてその企画プロセスを調査・分析した。本年度は、特に、対象を複合型集合住宅と複合ホテルに紋り、その形態的の類型化や複合化の要因と効果、異種機能空間相互の関係、利用者側からみた複合建築物の評価等についての検討を行った。 (1)複合型集合住宅の建築企画 住宅における複合化の歴史は古く、併用住宅や併存住宅にまで遡ることができるが、ここで扱う複合型集合住宅としては、宮益坂アパ-ト(1953年)や川口ビル(1955年)にはじまる施設併存型集合住宅である。住宅への施設複合化の要因は経済的な理由によるところが大きいが、住宅付置義務への対応やアメニティ向上を目的として複合化が行われる。効果としては、利便性や快適性の向上が指摘できるが、保健性や防犯性の低下が問題点として挙げられており、居住者と非居住者の動線処理において工夫がなされている。異なる施設が複合することによって生じる特徴と住宅に要求される性質の関係を整理し、複合が住宅に及ぼす影響について分析をおこなった。 (2)複合ホテルの建築企画 近年、ホテルは宿泊・料飲・宴会をはじめとし、文化・娯楽や商業・業務まで様々な機能を内包化してきている。また、各地で盛んに行われている再開発においてキ-テナントとしてのホテルの役割が重要視されるようになってきた。前者は、ホテル内部における複合化すなわち「ホテルの多機能化」であり、後者は、ホテルと経営主体が異なる施設を併存する「ホテルの外部複合」であると区別することができる。本年度は、12大都市の複合ホテルの分析を通して形態的な特徴や、複合化の要因や効果について分析をおこなった。ホテル複合化の要因は、経営の安定化とホテルのブランドイメ-ジの施設への付与、事業全体の安定化などであり、事業手法や形態との関係が大きいことが分かった。 II.建築集団に対する社会的建築企画の調査研究 社会的建築企画の視点から建築行政を捉えなおし、本年度は、特に12大都市の都心地域における自治体の居住政策の機能と役割について調査・分析をおこなった。これによると自治体の都心居住政策は制度的な役割分担によってその組織や事務が規定されており、各自治体の建築政策は都市化の程度に大きく関係している。しかしながら、どの都市においても現行施策だけでは不十分であり、より強力な事業手法の開発と、まちづくりに連携した施策の実施が求められていることが明らかになった。
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[Publications] 巽 和夫,東樋口 護,秋山 哲一,高田 光雄,毛谷村 英治: "建築企画の機能と構造に関する研究" 日本建築学会計画系論文報告集. (1992)
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[Publications] 巽 和夫,高田 光雄,毛谷村 英治,小林 純: "自治体の建築行政に関する研究" 日本建築学会計画系論文報告集. (1992)
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[Publications] 巽 和夫,高田 光雄,毛谷村 英治: "複合ホテルの建築企画に関する研究" 日本建築学会計画系論文報告集. (1992)
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[Publications] 巽 和夫,高田 光雄,毛谷村 英治,藤本 秀一: "複合型集合住宅の形態と複合効果に関する研究" 日本建築学会計画系論文報告集. (1992)
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[Publications] 巽 和夫,東樋口 護,秋山 哲一,高田 光雄,福原 裕治,森脇 久嘉,北浦 正一,山本 清,室田 成望,嶋村 仁志,三宗 司郎,千葉 桂司等: "建築文化特集号「建築企画の時代」" 彰国社, 140 (1992)