1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長 憲次 九州大学, 農学部, 教授 (90038175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 日出夫 九州大学, 農学部, 講師 (40038287)
岩元 泉 九州大学, 農学部, 助教授 (10193773)
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Keywords | 地域営農集団 / 農民層分解 / 集落 / 経営管理機能 |
Research Abstract |
当初計画に従って、これまでに、(1)佐賀県大町町畑ケ田機械利用組合、(2)福岡県城島町浮島高能率機械利用組合、(3)佐賀県浜玉町浜玉区地区農業機械組合、(4)群馬県前橋町下増田水田作組合等についての実態調査を実施するとともに、理論的・文献的研究に携ってきた。調査事例のうち、(1)、(2)は農外労働市場未展開の農業地域における集落ぐるみ型・稲麦その他部門複合型集団、(3)は(1)、(2)と同じ地域類型の広域型・集約部門高度展門型集団、(4)は兼業深化地域における集落運営型・稲麦野菜複合型集団の場合である。 研究成果の概要を実証研究を主にして示すと、第1に、集団的農地利用調整と機械施設協業利用を伴う地域営農集団は、基幹作業の準外部化や委託効果、稲麦作の固定費の軽減、団地化効果等によって地域農業の生産性と収益性を高め、兼業農家層まで含めた営農安定化への顕著な効果を発揮している。第2に、その効果は、分解阻止的に作用するが、他方で、農外労働市場の展開と農家間の農業生産力格差の増大に伴って、分解への動態過程は進行することになり、これらの2つの分解要因の地域的あり方に応じて、営農集団には、個別分化型と地域集団型の2つのいずれかの方向に向う傾向が認められる。第3に、後者の地域集団型が必要十分なオペレ-タ-を確保し安定化するためには、広域的再集が必要となる。が、広域的集団では個別と集団の間での種々の面での管理機能の強化が必要である。第4に、わが国の営農集団は、集落が基盤になって成立・展開してきたのだが、農業構造の変容と農民層分解の深化に伴い、集落の合意形成と統合力に弱化する方向に向かってきた。特に個別型への変質をとげてきた集団の場合には、集団機能の維持のための新しい仕組みの構築なり対策が新たな課題となってきている。
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