1990 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における高齢者をめぐる世代間関係の意識と実態に関する研究
Project/Area Number |
02451093
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 都代子 琉球大学, 教育学部, 教授 (60044898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花城 梨枝子 琉球大学, 教育学部, 助教授 (80128496)
玉城 隆雄 沖縄国際大学, 教養部, 教授 (50110581)
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Keywords | 沖縄の高齢者 / 社会・文化的特性 / 世代間関係 / 世代間交流 / 血縁共同体 / 高齢化対策 / 相互作用 / 価値観 |
Research Abstract |
沖縄の社会・文化的特性をふまえながら,世代間関係を通してみた高齢者の意識と行動の実態を明らかにするために,次の調査を行った。(1)世代間比較では,第一世代(65歳以上の高齢者),第二世代(25歳〜64歳の成人),第三世代(高校生・大学生)に分類し比較をした。(2)地域間比較では、都市,農村および離島にまたがって調査を行ったので報告する。 1.高齢者の自己意識と他世代の高齢者意識の間には大きなずれがみられた。特に居住に関しては高齢者世代に依然として強い同居志向がみられたのに対し,他世代とりわけ若者世代は別居志向が高かった。ただし,別居志向の中には近住志向が強く,別居については,各世代を通して性差がみられた。すなわち男性にくらべて女性の方が別居志向が顕著であった。 2.世代間交流には,各世代にまたがって意識と実態に大きなずれがあり,日常生活においては,世代間交流の高い意識に対して,実態の交流は伴っていないことが認められた。しかし,農村においては,血縁を越えて世代間交流がみられた。 3.遺産相続と位牌継承は,表裏一体となっていると云われるが両者の間にはずれがみられた。遺産相続については,やや平等意識が芽生えているものの,位牌継承については男性に片寄った意識が強かった。 4.高齢者の介護・介助の担い手は,嫁・娘が中心となっていた。しかし,嫁・娘の就労に伴って,役割葛藤が多発する傾向がみられた。血縁共同体と云われる沖縄においても,21世紀を展望して高齢化対策や高齢者ケア-のあり方には,血縁を越えた世代間及び世代内のシステムづくりが不可欠であることが認められた。
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Research Products
(1 results)