Research Abstract |
沖縄における長寿の社会的要因の一つとして,血縁・地縁共同体的な人間関係の機能が重要視されている。このような視点から本年は,高齢世代と他世代(成人・若者・子供)との多様な人間関係を家庭生活を中心に検討したので,補完調査(小・中学,施設老人)を含めて報告する。 1.住居については,出身地縁志向が高齢者の74.8,成人57.2,若者30.2%と世代間に大きな差異がみられた。 2.近隣交渉における日常的往来は,高齢者40.3,成人23.6,若者17.0%と加齢と共に高くなっている。行事への参加協力は,高齢者18.0,成人22.3,若者9.3%で成人世代が中軸となっている。随時協力は高齢者28.2,成人34.3,若者25.8%と成人が優位である。また,儀礼的交渉は高齢者11.5,成人21.8,若者44.7%と世代間に較差がみられた。総じて近隣交渉は,日常・非日常生活において活発であった。 3.扶養介護の担い手としての隣人は世代間平均の意識1.4,実態3.1%と極めて低い。現実的には,長男を中心に82.8%の血縁者が扶養・介護の担い手となっていた。 4.補完的に行った隔世代交流は,祖父母との同居経験のない小学生27.2,中学生53.4%が往来型となっている。両方とも29.4%が会食型,小遣いは平均して22.1%が貰っている。また,小学生27.2,中学生15.5%は電話による間接交流,小学生20.9,中学生6.3%は文化伝承型,さらに小学生16.1,中学生20.9%は直接対話型となっていた。 5.同様に,特殊養護老人ホ-ムの調査では,入園以前の住居形態について38.8%が長男を中軸とした息子,11.0%が娘家族との同居となっている。主な入園理由は,自分の身の回りのことができない(33.3%),介護要員が得られない(28.9%)となっている。ちなみに,男性の6.8%は配偶者の死亡を契機としている。
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