1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02452029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加倉井 和久 東北大学, 理学部, 助手 (00204339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 金四郎 福岡工業大学, 教授 (70037670)
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
山田 和芳 東北大学, 理学部, 助手 (70133923)
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Keywords | 低次元磁性 / 量子効果 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
ABX_3系:GsNiBr_3,RbNiCl_3の非弾性散乱及び前記の物質とCsMnI_3の準弾性散乱が東海村原子力研究所JRRー2号炉でおこなわれた。非弾性散乱実験でのスピン波測定によりこれまで詳しく調べられてきたCsNiCl_3に加えてこのS=1の系でも同様に量子効果が顕著に現われていることが明確になった。この実験で観測される量子効果がハルデ-ンが理論的に予測する値と定量的にもほぼ一致することから原理的には一次元系で予期されたハルデ-ンギャップがこのS=1擬一次元性物質では三次元秩序温度以下でもスピンダイナミックスに影響を及ぼしていることが明らかになった。このS=1の系に対してSが半整数の系としてCsVCl_3(S=3/2)のスピン波分散がKENSのチョッパ-型分光器を用い高エネルギ-スピン波励起を含む全Brillouin zoneで観測され、この系ではS=1で観察されたような量子ギャップに匹敵するものが無いことが明らかになった。又、準弾性散乱より求まるスピン相関距離の温度依存性でも上記のS=1の物質ではT→0に外挿した相関距離が無限大にならない事実が観測された。これは理論的にハルデ-ンがSが整数の反強磁性の系に予測した事であるが、その相関距離の長さが理論で予想されるものより大きいことが実験の結果から判明した。比較の為に古典的描写が妥当と思われるS=5/2系CsMnI_3の準弾性散乱の結果では相関距離がT→0で無限大になることから上記のS=1系の結果が量子効果によるものと解釈できる。偏極中性子を使用しての実験はInstitut LaueーLangevin(Grenoble)でドイツ、マインツ大学のSteiner教授との共同研究で行なわれ、S=1擬一次元反強磁性物質CsNiDl_3でのスピン波幅が古典的理論からは予測出来ない振る舞いをすることが明らかになった。又、S=1擬一次元強磁性物質でもスピン波幅には定量的に量子効果が現われている事実を偏極中性子散乱の結果が示唆している。 他の系:新物質としてBi_2CuO_4の単結晶製作、そしてその磁気的性質が中性子散乱、帯磁率及び比熱測定で詳しく調べられた。擬一次元反強磁性物質TMMC(CD_3)_4NMnCl_3では非線形励起が線形励起に大きい影響を与える事実が解明した。又、擬二次元三角格子のNaTiO_2の上質な多結晶製作に成功し、弾性及び非弾性散乱実験が予定されている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kakurai et al.: "Study of the spin Wave Linewidth in a 1ーD EasyーPlane Ferromagnct Using Neuhon Polarization Analysis" Europhysics Letters. 12. 653-659 (1990)
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[Publications] K.Kakurai et al.: "Spin Wave Exatations from SingleーCrystal Quasi 1ーD Antiferramagnet CsVCl_3" KENSーReport. (1990)
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[Publications] K.Kakurai et al.: "Inelasric Polarited Nentron Scattering from S=1 Antiferromagnetic CsNiCl_3 in an Applied Field" Journal of Physics:Condensed Matter. (1991)
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[Publications] K.Nakajima et al.: "Quanielasric and Inelasric Neutron Scatloving from RbNiCl_3"
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[Publications] J.P.Boucher et al.: "New Nonlmean Modes in Planar Antiferromagnets:A Study of PolaviedーNeutron,Inelastic Scatlening of(CD_3)_4NMnCl_3 in a Transverse Field." Phyoical Review Letters. 64. 1557-1560 (1990)
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[Publications] K.Yamada et al.: "ThreeーDimensional Antiferromagnectic order and Anisotropic Magnetic Prgoentios in Bi_2CuO_4"