1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02452049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藪崎 努 京都大学, 理学部, 助教授 (60026127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 義朗 京都大学, 理学部, 助手 (40226907)
水崎 隆雄 京都大学, 理学部, 助教授 (20025448)
恒藤 敏彦 京都大学, 理学部, 教授 (30025275)
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Keywords | アルカリ原子 / 超流動ヘリウム / レ-ザ-分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、未だ世界的に全く研究がなされていない超流動ヘリウム中に不純物として導入されたアルカリ原子や電子を精密にレ-ザ-分光し、固有エネルギ-を求め、その特異な構造について理論・実験の両方から総合的に研究することである。平成2年度では先ず、アルカリ原子としてナトリウムを選び、それと液体ヘリウム中に導入し光学的に研究できる装置の製作を行った。当初は原子ビ-ムを外部から入れる方法を試みたが.かなり高いエネルギ-が必要であることがわかり他の方法の開発を行った。最も有力な方法は、アルカリ金属を予め液体ヘリウム中に入れておき、それに現有のYAGレ-ザ-からのパルス光を照射しスパタリングで原子を入れるのである。この方法により液体ヘリウム中のアルカリ原子からの発光を観測することができた。現在はナトリウム原子の吸収及び発光スペクトルの検出を行っている。一方、超流動ヘリウム中のアルカリ原子のエネルギ-の理論的研究をも行った。アルカリ原子の最外殻電子によりヘリウムが外に押し出されるが、そのようなヘリウムの効果は一種の井戸型ポテンシャルで記述できる。計算の結果、基底状態(S状態)から第一励起状態(P状態)への吸収スペクトルは自由原子のそれに比べ若干短波長側にシフトし、一方励起状態からの発光スペクトルはヘリウムの非球対称の影響を受けて長波長側にシフトすることが明らかになった。このようなアルカリ原子に関する研究と同時に、超流動ヘリウム中に存在する電子についてのの研究も行っている。電子の場合には零点振動により、半径約15A^^°の真空領域(バブル)を形成するが、原子と同様な離散的エネルギ-構造を持つ、理論計算によれば、そのスペクトルは約10μm域の赤外にあることがわかった。赤外におけるこのスペクトルは未だ測定されたことのないもので、現在実験を準備しているところである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Takahashi,K.Ishikawa Y.Fukuda,T.Yabuzaki and T.Hashi: "Symmetry Properties of Raman Heterodyne Signals in Pr^<3+>:LaF_3" Phys.Rev.B. 43. (1991)
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[Publications] T.Ito,T.Yabuzaki and T.Hashi: "Frequency Stabilization of a GaAlAs Laser Using Rb Selective Reflection Spectrum" Opitics Communication. (1991)
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[Publications] T.Yabuzaki,T.Mitsui and V.Tanaka: "New Type High Resolution Spectroscopy with a Diode Laser" Phys.Rev.Letters. (1991)
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[Publications] R.Ikeda,T.Ohmi and T.Tsuneto: "Theory of Broad Resistive Transition in High Temperature Superconductors under Magnetic Field" J.Phys.Soc.Jpn.(1991)