1990 Fiscal Year Annual Research Report
四国,秩父累帯南帯・四万十帯中のチャ-ト及び泥質岩の地球化学的研究
Project/Area Number |
02452071
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 尭士 高知大学, 理学部, 教授 (20036528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉倉 紳一 高知大学, 理学部, 助教授 (10093957)
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Keywords | 秩父累帯南帯 / 四万十帯 / チャ-ト / 泥質岩 / 蛍岩X線分析装置 / 熱水起源 / 陸源砕屑物 / 堆積深度 |
Research Abstract |
1.本研究は,四国南部に分布する秩父累帯南帯並びに四万十帯中のチャ-ト及び泥質岩を地質学的・地球化学的に研究することにある。野外においては上記岩石類の分布状況・産状を地質学的に調査し,秩父累帯南帯斗賀野層群(三畳系〜ジュラ系)並びに四万十帯(白亜系〜第三系)の試料を時代を追って系統的に採集した。 2.秩父累帯南帯の斗賀野層群に関する試料は岩石切断カッタ-で切断し,ジョ-クラッシャ-で粉砕し,ビ-トサンプルを作成し,蛍光X線分析装置に使用して主成分並びに微量成分についての測定を行なった。 3.斗賀野層群は尾川帯・小日浦帯・西山II帯に分けられ,これら3帯の層状チャ-ト・珪質泥岩・泥岩をそれぞれ分析し,化学組成との相関から,3帯の各岩相の遷移の状態・同一年代間の層厚の違いなどは,化学組成の差異に反映され,堆積環境が異なることを示唆している。 4.主要成分元素による各ダイアグラムを比較すると尾川帯が熱水起源の物質の寄与が最も著しく,供給源に一番近かったことが推定され,小日浦帯・西山II帯の順に供給源から遠ざかっていると考えられる。 5.年代が若くなるにつれて,急激に陸源砕屑物の寄与が大きくなる。尾川帯では,陸源砕屑物の寄与が付加する直前まで小さく,西山II帯では,すでにチャ-トの堆積時から陸からの影響があったことが地球化学的に判明し,このことは酸性凝灰岩をチャ-トが夾在することからも立証される。 6.Thの絶対量の推定から,実際の堆積深度自体は算出されないものの,各帯の堆積深度については小日浦帯が最も深いところまで移動し,尾川帯・西山II帯の両帯の上部層では堆積深度にあまり差がなかったことが推定される。
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