1990 Fiscal Year Annual Research Report
生体組織の成長と分化に関するバイオメカニクスとその工学的応用
Project/Area Number |
02452096
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林 紘三郎 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (90026196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 憲隆 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (40210546)
松本 健郎 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (30209639)
中村 孝夫 北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (00142654)
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Keywords | 生体組織 / 成長と分化 / バイオメカニクス / 高血圧 / 動脈硬化 / 動脈壁 / 無負荷 / 膝蓋腱 |
Research Abstract |
1.動的生体組織試験装置の試作 本年度に購入した東京衡機製造所製の疲労試験機を用いて、これに生体組織に利用できる特殊なグリップ並びに恒温水槽装置を作製して取り付け、生理的な状態の下で力学試験が可能な装置を試作した。これにより、生体組織に任意の荷重あるいは変位波形を動的に加えることが出来、生体内の負荷、変位状態を生体外で再現することが出来た。今後は、本装置を用いて摘出した家兎膝蓋腱の力学的性質を詳細に調べる予定である。 2.高血圧ラット及び動脈硬化家兎動脈壁の力学的性質の検討 腎動脈クリップ法による高血圧ラットについては、生前の動脈圧と血管壁厚の間には強い相関があり、生前の血圧値での血管壁内円周方向平均応力は、どの個体でもほぼ一定の値を取ることが明らかになった。また、この適応反応は8週間で完成することも判明した。一方,高コレステロ-ル食の投与による動脈硬化家兎については、動脈硬化による動脈壁の石灰化が力学的性質に大きな影響を与えることを明らかにした。 3.Stress shieldingを施した家兎膝蓋腱の力学的性質の検討 家兎の膝蓋骨ー脛骨間にステンレス・ワイヤを掛けて長さを短縮することで膝蓋腱を鍮弛緩させ、完全に無負荷の状態にして飼育した後、その力学的強度を測定した。その結果、膝蓋腱の引張強度や弾性係数が短期間のうちに著しく低下することが明らかになった。また、膝蓋腱を一定期間無負荷の状態にした後、再手術を行いワイヤを取り除くことによって、膝蓋腱に再び負荷を加えると、その力学的強度も再び増大することが明らかになった。以上の実験結果から、膝蓋腱は力学的環境の変化に対応して、その力学的強度を大きく、しかも敏速に変化させることが分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamamoto,N.,et al.: "Effects of Stress Shielding on the Mechanical Properties of Rabbit Patella Tendon" Journal of Biomechanical Engineering.
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[Publications] 松本 健郎,他: "ラット大動脈壁の高血圧に対する力学的適応反応" 脈管学.
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[Publications] 林 紘三郎,他: "動脈硬化と血管弾性" 第14回大阪大学BME研究会 コロキアム講演論文集. 49-54 (1991)