1990 Fiscal Year Annual Research Report
高サイクル熱疲労き裂進展挙動の観察と高温下き裂進展則に関する総合的検討
Project/Area Number |
02452100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 敬二 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70029007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島川 貴司 川崎重工業(株)原子力本部, 係長
阪上 隆英 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (50192589)
西川 出 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90189267)
三好 良夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029434)
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Keywords | サ-マルストライピング / 表面き裂 / き裂進展 / 熱応力 / き裂開閉口 / SUS304鋼 |
Research Abstract |
初年度は高サイクル熱疲労試験装置の製作とこれによる熱疲労き裂進展の実験デ-タの取得ならびに高温一定温度下における疲労き裂進展デ-タの収集を行った.具体的な研究成果は以下の通りである. (1)サ-マルストライピング条件を実現するために熱疲労き裂進展試験装置を製作した.加熱には当初計画を上回る最高10000Aの容量を有する電源トランスを製作,これによる直接通電・電気抵抗加熱法を採用した.一方,急冷操作は標高20mに冷却水タンクを設置し,精製水の噴射を電磁バルブで制御することにより行った.この結果,最高0.83Hzの高速熱サイクルを実現することができた. (2)製作した装置を用いてSUS304ステンレス鋼につき高サイクル熱疲労下のき裂進展の基礎実験を行った.まずサ-マルストライピング条件下において発生する試験片表面ならびに内部の温度分布を計測した.温度変動は最高650℃から400℃の範囲で温度変動が生ずることが分かった.この温度分布から発生する熱応力を評価した結果,試験表面近傍では片振り引張り,試験片内部に入るにつれて両振り,さらには片振り圧縮の応力状態となっていることが明らかとなった. (3)表面ならびに内部方向に進展するき裂の進展挙動を観察した.得られた表面方向き裂進展速度は最高温度に対応する650℃一定試験温度・片振り応力状態下で得られたき裂進展速度と一致した.一方内部方向に進展するき裂の進展速度は進展するにともなって減速し,650℃一定温度下において得られたデ-タに比べても一致しなかった.この挙動にはき裂開閉口挙動の影響がきわめて大きいと推定され今後の検討課題として残された.表面方向の進展き裂に対してはレ-ザ干渉法によるき裂開閉口計測も行ったが表面においては全開口となっていることが確認された.
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[Publications] 西川 出,小倉 敬二: "耐熱鋼の高温下疲労き裂進展挙動と圧縮負荷誘起き裂開口" 日本機械学会第68期全国大会講演会講演論文集. Vol.A. 377-379 (1990)
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[Publications] Keiji Ogura,Izuru Nishikawa: "Fatigue Threshold and Closure at Moderately Elevated Temperatures" Proc.of 4th Intern.Conf.on Fatigue and Fatigue Thresholds. 3. 1413-1418 (1990)
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[Publications] 西川 出,小倉 敬二: "中高温下疲労き裂進展に及ぼす応力比の影響と圧縮負荷誘起き裂開口" 日本材料学会第20回疲労シンポジウム前刷集. 92-96 (1990)
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[Publications] 西川 出,三好 良夫,小倉 敬二: "画像処理援用き裂進展挙動解析" 機械の研究. 42. 1004-1012 (1990)
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[Publications] 西川 出,森川 自,藤原 弘次,三好 良夫,小倉 敬二: "画像処理援用き裂進展試験システムの開発と中高温下K値制御疲労試験への応用" 材料. 40. 235-241 (1991)
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[Publications] 小倉 敬二,西川 出,稲村 文秀,島川 貴司: "ステンレス鋼のサ-マルストライピング条件下におけるき裂進展(試験機の試作と実験)" 日本機械学会関西支部第66期定時総会講演会講演論文集. No.914ー1. 136-138 (1991)