1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02452116
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 秀雄 東京大学, 工学部, 教授 (90010678)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50013206)
市川 保正 東京大学, 工学部, 助手 (40134473)
川田 達雄 東京大学, 工学部, 助手 (00010851)
松本 洋一郎 東京大学, 工学部, 助教授 (60111473)
|
Keywords | 固体ー気体界面 / 分子動力学 / 界面の熱伝達 / 吸着確率 / 適応係数 / Maxwellモデル / 希薄気体 |
Research Abstract |
固体表面近傍での気体分子の挙動について、本年度は固体結晶と気体の双方が単原子分子からなる系の解析を主として行なった。すなわち、全ての原子間に働く力はレナ-ド・ジョ-ンズ型のポテンシャルの微分としている。まず12x12x12の864個の原子からなる結晶を構成し、これに周期境界条件を課して薄膜状とした。この固体結晶に1つの気体原子が接近し、運動量やエネルギの交換を行なう過程を分子動力学の手法によりシミュレ-トした。この時、結晶原子に対する気体原子の質量、初期エネルギ、ポテンシャル係数、初期入射角度を系統的に変化させ、1つのパラメタの組み合わせに対して数百回の試行を行ない、エネルギの伝達、運動量の伝達、気体原子の吸着確率などの統計量を得た。その結果、 (1)気体原子の衝突後の散乱角度はMaxwellのモデルとは異なるところにピ-クを持つ。 (2)気体原子が吸着する確率は主として相互作用ポテンシャルの強さに支配される。 (3)気体原子の運動エネルギの変化及び固体表面に垂直な方向の運動量変化は吸着確率に大きく左右される。吸着確率が比較的に小さい場合には気体の初期運動エネルギが支配的となる。 等の知見を得た。しかし、運動量とエネルギの変化に関しては、気体原子の相対質量の影響が強く出る領域、固体結晶の熱エネルギの大きさが影響すると考えられる領域などがあり、定量的なモデルを構築するには疑問が残されている。また、系の挙動を可視化したところ、気体原子が吸着されるまでに固体表面上で反射を繰り返しながら比較的広い範囲を移動する場合があること、1回目の衝突におけるエネルギの伝達がその後の気体原子の挙動をほぼ決定していること等が観察された。
|