1990 Fiscal Year Annual Research Report
短波長レ-ザ用IIーVI族新混晶半導体の成長と物性に関する研究
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02452147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 茂夫 京都大学, 工学部, 教授 (30026231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 養一 京都大学, 工学部, 助手 (30214604)
藤田 静雄 京都大学, 工学部, 助教授 (20135536)
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Keywords | 短波長半導体レ-ザ / 二重異種接合 / 有機金属分子線成長 / 新混晶半導体 |
Research Abstract |
可視短波長〜紫外域半導体レ-ザ用の新しい材料としてZnCdSSe系混晶をとりあげ,レ-ザ実現に不可欠のキャリア閉じ込め構造の設計,成長技術の確立,基礎物性の解明を目的として研究を行った。得られた結果を下に記す。 1.有機金属分子線成長(MOMBE)法によりZnCdS,ZnCdSSe混晶の成長条件を検討した。その結果,GaAs基板に格子整合するZnSSe近傍の組成を持つZnCdSSe四元混晶において,RHEED振動を伴う二次元成長に成功した。X線回折ロッキングカ-ブ半値幅は40秒,ホトルミネセンスにおいて強い励起子発光を示す高品質エピ層が得られた。 2.ZnCdSSeを活性層,ZnSSeを閉じ込め層とし,電子・正孔共に効率良く閉じ込めることのできる二重異種接合(DH)構造の設計を行った。Zn_<0.90>Cd_<0.10>S_<0.07>Se_<0.93>を活性層,ZnS_<0.08>Se_<0.92>を閉じ込め層とすると,活性層の禁制帯幅は2、690eVであり,伝導帯・価電子帯オフセットはそれぞれ153,30meVとなり,効率良いキャリア閉じ込めが可能なことがわかった。実際この試料のホトルミネセンスにおいて強い発光を得,また70Kにおいて光励起レ-ザ発振を確認し,短波長レ-ザ用材料として大きなポテンシャルを持っていることがわかった。この時の発振波長は463nmの青色領域で,しきい値は18kw/cm^2と低かった。また,各種構造の設計を行うための計算プログラムを開発した。 3.半導体レ-ザ実現に不可欠のP型不純物添加に向け,ZnSe,ZnSSeを対象に光照射ド-ピングの基礎実験を行った。Zn原料の高純度化により残留ドナ密度の低いエピ層が得られ,タ-シャリブチルアミンを原料としてかなり高濃度の窒素添加が可能であることを示唆する結果を得た。低抵抗電極材料が不明なためP型伝導の確認には至っていないが,膜の抵抗率はかなり低いことを示す結果を得ている。
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[Publications] 市野 邦男: "Metalorganic Molecular Beam Epitaxy of ZncdSSe Quaternary Alloy Semiconductors" Journal of Crystal Growth.
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[Publications] 川上 養一: "Design of Short Wavelength Region Semiconductor Laser Structures using ZnCdSSe Quaternary Alloys" Jaurnal of Applied Physics.