1991 Fiscal Year Annual Research Report
可聴型室内音場シミュレ-ション・システムに関する研究
Project/Area Number |
02452217
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 秀樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 新人 東京大学, 生産技術研究所, 教務職員 (30218721)
矢野 博夫 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70114692)
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Keywords | オ-ディトリアム / 劇場 / 音響膜模型実験 / シミュレ-ション / インパルス応答 / 室内音響特性 / ダミ-ヘッド / バイノ-ラル再生 |
Research Abstract |
1.研究目的 コンサ-トホ-ル、オペラ劇場あるいは各種のイベントホ-ルなどの建物の音響設計のために、これまでに音響模型実験やコンピュ-タ・シミュレ-ションの手法が開発され、各種の物理的な室内音響特性の予測が行われている。本研究では、これらの方法を一歩進めて、実際に音楽が演奏されたり、各種の音声情報がアナウンスされたときなどの室内音響効果を直接耳で確かめる手法を開発することを目的とし、そのための音場シミュレ-ションの方法について開発研究を行った。 2.実験方法 模型実験において、自然な聴感を得るためのバイノ-ラル受音システムとして、人間の頭部を模擬した1/10縮尺・球形タミ-ヘッドを開発した。さらに、頭部の伝達特性を高精度にシミュレ-トするための耳介部分について模型化を行い、模型ホ-ル内で物理的にすべての情報を含む室内のインパルス応答を求めた。それと音楽や音声などの任意の信号をディジタル演算によるコンボル-ションの手法を用いて合成した各種の試験音について、残響感、拡がり感、距離感、好ましさなどの室内音響特性に関する主観評価実験を行った。受聴システムとしては、ヘッドホン受聴とは別に、自然な空間的印象を得るためのバイノ-ラル再生方法として、transaural systemによるスピ-カ再生方式を用いた。 3.研究結果 これらの模型実験とデジタル演算を組合わせたハイブリッド・シミュレ-ションの結果として、聴感的にもある程度実音場を予測できる見通しが得られた。このシミュレ-ションシステムによれば、室内音響特性について物理的な側面だけでなく、その室内音響効果を聴感的に直接確かめることが可能となった。
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[Publications] 佐藤,青木,橘,菅: "ホ-ルの1/10縮尺模型実験の結果と実物における測定結果の対応" 建築学会大会学術講演梗概集. 1441-1442 (1991)
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[Publications] 青木,佐藤,矢野,橘: "インパルス応答に着目したホ-ルの聴感評価諸量の測定" 日本音響学会講演論文集. 743-744 (1991)
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[Publications] 佐藤,日高,橘: "室内音響模型実験におけるバイノ-ラル収録・再生法" 日本音響学会講演論文集. (1992)