1992 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会におけるコミュニティ・ハウジングの必要性と可能性に関する計画的研究
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02452223
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
延藤 安弘 熊本大学, 工学部, 教授 (30026116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊祐 熊本大学, 工学部, 助手 (50182712)
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Keywords | コミュニティ・ハウジング / コーポラティプ・ハウジング / 共用空間 / 創発的マネジメント / 共同建替 |
Research Abstract |
コニュニティ・ハウジング促進のための重要なキイ・ファクターとしての創発的マネジメントの概念と手法をあきらかにした。創発的マネジメントとは、集住体における共用空間と集住の間の相互作用システムのことである。そこにおけるいかなる出来事も創造活動も、創発的マネジメント手法に多様な縦糸・横糸として織りなされて、ハード(物的空間)とソフト(集住生活)の生き生きとした相互作用が生成する。そのプロセスにおいて価値づくりが進行するのである。本年度の研究では、コーポラティブ・ハウジングの代表事例である「ユーコート」と「あじろぎ横丁」を対象に、共用空間の管理とそこにおける楽遊活動の連鎖の中に、創発的マネジメントの原理が介在し、価値生成のプロセスがみられることを実証した。 いまひとつのコミュニティ・ハウジング成立の重要な典型として、市街地の高密老朽住宅の共同建替を位置づけ、上尾市仲町愛宕地区を考察の対象とした。地価を巻き込まない生活価値優先の共同建替は、必ずしも均質化された標準的な同じ顔の住宅街区になることなく、生活的・歴史的文脈を丹念に読み込んだ、周りに同化する個性ある集住体を生みだす。制度・事業ありきのシステムのなかに諸主体を含摂することなく、「安心して住みつづけられる」気持ちを高め、システムという枠組みのなかでは語りきれない無数の出来事の重層した流動的な〈状況のデザイン〉をなしえたところに、コミュニティ・ハウジングとしての共同建替成功の標密があることを明らかにした。 最後に、コミュニティ・ハウジング成立のための計画要件10を抽出してまとめとした。
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[Publications] 延藤 安弘: "さりげない日常の中に親密さを高める" AT(Architecture Magazine). 61-67 (1992)
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[Publications] 延藤 安弘: "環境との豊かな共生をデザインする" AT(Architecture Magazine). 51-57 (1992)
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[Publications] 延藤 安弘: "共同建替の島々が町の中に連鎖するー(状況デザイン)の方法" AT(Architecture Magazine). 31-39 (1992)
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[Publications] 山田 朋来: "集住環境生成過程における価値づくりについての考察" 日本建築学会計画系論文報告集. 443. (1993)
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[Publications] 福田 由美子: "共用空間と集住生活の相互作用のプロセスの評価" 日本建築学会計画系論文報告集. 444. 21-30 (1993)