金属ー非金属混合融体の結合様式,構造並びに動的性質に関する研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02452231
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 田巻 繁 新潟大学, 理学部, 教授 (80018259)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 武田 信一 九州大学, 教養部, 助教授 (10111733) ; 原田 修治 新潟大学, 工学部, 助教授 (80134956) ; 岡崎 秀雄 新潟大学, 教養部, 教授 (60018265)
• Keywords: 溶融塩 / 化合物形成液体合金 / 金属ー非金属転移 / 粒子線回折

Research Abstract

本研究は金属から非金属へ連続的に変化が可能な融体系について、その微細構造,熱力学的性質及びその他を調べることを目的としている。その対象系としてまずNaーBi系をあげるとこの系は双方が金属であるにも拘らず合金化によって非金属的挙動を示す。この系の混合の熱力学的諸量をしるため高圧下の起電力測定を行った。その結果Na_3Biのところで化合物を形成する。それよりもNa側では二相方離傾向があり、Bi側では安定した一相状態であることが判明した。このことはイオン性液体と電子分布が単純でない金属とは容易に混合するが、そうでない場合には混合が容易でないことを示唆している。
次に溶融塩ー金属融体系の結合様式を調べるため、まず銀及び銅ハライド系の純粋状態の構造測定を行った。その結果これらの系はアルカリハライド溶融塩の場合よりも有効電荷が小さく、若干の共有結合性がイオン結合性と共存していることが判明した。特に銅ハライド系融体では銀ハライド系よりも共有結合性が若干大きいことを反映した結果をえた。
これらの系に銀及び銅を添加したが固溶限が小さく、金属から非金属への連続的変化はかなり困難であることが判明した。これに反し、TlーS及びTlーSeでは化学量論組成でも共有結合性がかなり高く、金属から非金属への連続的変化がみられる。この点から,Tlーβアルミナを作成しそれを固体電解質電極として使用することにより、系のイオン伝導度と電子伝導度を分離測定する装置を開発し、本年度は主として予備実験を行って、この分離が可能であることを確認した。

Research Products

• [Publications] S.Takeda,S.Harada,S.Tamaki,E.Matsubara and Y.Waseda: "Structural study of Liquid NaーTl Alloys by Neutron Diffraction" J.NonーCrystalline Solids. 117/118. 68-71 (1990)
• [Publications] S.Takeda and S.Tamaki: "Thermodynamic propecties of liquid NaーBi system under pressure" J.Phys:Condensed Matter. 2. 10173-10182 (1990)
• [Publications] Y.Shirakawa,M.Saito,S.Tamaki,M.Inui and S.Takeda: "Structure of molten CuCl,CuBr and CuI" J.Phys.Soc.Japan. 60. (1991)