1992 Fiscal Year Annual Research Report
金属ー非金属混合融体の結合様式、構造並びに動的性質に関する研究
Project/Area Number |
02452231
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田巻 繁 新潟大学, 理学部, 教授 (80018259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 信一 九州大学, 教養部, 教授 (10111733)
丸山 健二 新潟大学, 大学院櫟然科学研究科, 助手 (40240767)
岡崎 秀雄 新潟大学, 教養部, 教授 (60018265)
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Keywords | 溶融塩 / 化合物形成液体合金 / 金属ー非金属転移 / 粒子線回折 |
Research Abstract |
本年度は部分的に共有結合性を有するイオン性融体である銅ハライド及びそれらの擬二元系の電子構造を探るため磁化率の測定を行った。また金属結合から共有結合へと連続的に変化する溶融Tl-Se系の種々の組成における電子伝導とイオン伝導の分離測定を行った。その結果、前者では共有結合的な電子分布の非対象性からくる大きなVan Vleck常磁性の寄与が確認された。また擬二元系銅ハライドでは、CuBr-CuClけいでBr^-とCl^-イオン3:1もしくは1:3の安定した四配位構造に相当する電子状態にあることが確かめられた。これに対し、CuBr-Cul系ではそれぞれの四配位構造が残存し、混合四配位構造をとらないことが判明した。また溶融Tl-Se系ではよい金属性を示す溶融TlにSeを添加して行くにつれてイオン結合性が増加し、Tl_2Seの化学量論組成では結合はイオン性が主であるにも拘らず、電子伝達として縮体半導体状態であることが判明した。特にTl_<22>Se+微量Tlの組成領域では電子伝導度がTl_2Seに向かって急激に減少するのに対し、イオン伝導度はそれとは反対に急激に上昇す極めて興味深い結果を得た。即ちイオンの易導度に対する電子の干渉効果である。更にこの領域の電子伝導に対し、金属ー非金属近傍のMottの理論を適用することにより、化学量論組成Tl_2SeにTlを加えるとTl_++eのようにTlは一価のイオンとなり電子1ヶを伝導電子として供給することが判明した。またTl_2SeにSeを添加するとSe側で電子伝導は若干上昇して極大値をもち、共有結合性のSe近傍で急激に減少するがイオン伝導ではその様な変化が生じないことが認められた。これらについての詳細な議論は既に公表した。
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[Publications] T.Usuki: "Neutron Diffraction Study of Liquid Tl-Se Alloys" J.Phys. Soc.Japan. 61. 2805-2813 (1992)
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[Publications] N.Fueki: "Structure of Amorphous Ge-S System by X-ray Diffraction" J.Phys.Soc.Japan. 61. 2814-2820 (1992)
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[Publications] T.Usuki: "Neutron Diffraction Study of Liquid Bi-Se Alloys" J.Phys.Soc.Japan. 62. 148-154 (1993)
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[Publications] Y.Shirakawa: "Diamagnetic Properties of Molten Cuprous Halides and Their Mixtures" J.Phys.Soc.Japan. 62. 544-551 (1993)
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[Publications] T.Usuki: "Electronic and Ionic Conductions in Liquid Tl-chalcogen Systems" J.Non-crystalline Solids. (1993)