1992 Fiscal Year Annual Research Report
水素をプローブとした希土類アモルファス合金の局所的構造と電子状態の研究
Project/Area Number |
02452233
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 一英 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00024232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 正明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30024342)
吉成 修 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10134040)
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Keywords | アモルファス合金 / 希土類 / 水素 / 原子的構造 / 電子状態 / 水素吸蔵合金 / 遷移金属 / 表面物性 |
Research Abstract |
La,Nd等の希土類元素とFe,Ni等の遷移金属からなるアモルファス合金はその形成範囲が広く,かつ水素との反応性に富む。本研究は液体急冷法により種々の組成のアモルファス合金を作製し,その水素吸蔵放出特性,原子構造,表面状態並びに電子状態について系統的に調べると共に,優れた水素貯蔵合金を開発することを目的として行った。得られた成果を以下に要約する。 (1)La-Ni-Mg系アモルファス合金に関する研究。 この3元系はLaNi_5,Mg_2Ni等の実用的水素貯蔵合金の成分を全て含むため,その水素吸蔵特性を明らかにすることは実用上意義が高い。(La_<0.4>Ni_<0.6>)_<100-X>Mg_X,(La_<1-X>Ni_X)_<50>Mg_<50>,La_5(Ni_<1-X>Mg_X)_<95>,La_XNi_<20>Mg_<80-X>等の合金についてXを細かく変化させてその水素吸蔵能を調べると,殆どの合金でH/M=1.0〜1.5という高い吸蔵能が得られた。一方水素の熱放出スペクトルは約300℃及び約600℃にピークがあり,その相対強度はNi濃度とよい相関性を示した。これらの結果から,La_5Ni_<40>Mg_<55>合金がこの系では最も優れた水素吸蔵放出特性を持つことが明らかになった。これらの合金の水素吸蔵による構造変化をX線構造解析により調べ,水素原子はアモルファス合金中ではLa,Mg原子と結合しNiとは結合しないことがわかった。このことは光電子分光による電子状態の解析からも明らかになった。しかしNi原子は合金表面でH_2分子との反応速度を高め水素吸蔵放出を促進するために機能していることが表面分析から解明できた。上記合金系の他にLa-Ni-Al系についても同様の研究を行った。構造と電子状態については定性的に同様の結果を得たが,水素の吸蔵放出特性はかなり異なっており,実用上はLa-Ni-Mg系の方が優れている。 (2)Nd-Fe,Nd-Fe-B系アモルファス合金に関する研究 本系は実用磁石合金として有名であるが,その水素吸蔵効果の研究が殆ど無いので,その構造や電子状態についての基礎研究を行った。Nd_XFe_<100-X>,Nd_<18-X>Fe_<82>B_X系合金を作製し,そのX線構造解析及び光電子分光測定を行った。構造解析により合金中のFe-Fe,Fe-Nd,Nd-Nd等の部分相関関数を求めることができた。またNdはFeのdバンドに及ぼす影響は少ないが,BやHの添加はdバンドを著しく変化させることがわかった。 なお(1)の研究は92年度「金属ー水素系」国際会議で3篇の論文として発表し,(2)の研究は現在学会誌及び93年度「超急冷・準安定物質」国際会議に発表準備中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kazuhide Tanaka: "Thermal Desorption Spectra of Hydrogen from Glassy Pd_<35>Zr_<65> and Crystalline PdZr_2" Journal of the Less-Common Metals. 172-174. 928-935 (1991)
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[Publications] Kazuhide Tanaka: "X-Ray Diffraction Study on the Structure of La-Ni-Mg and Their Hydrides" Zeitschrift fur Physikalische Chemie. (1993)
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[Publications] Kazuhide Tanaka: "Electronic Structure of Hydrided La-Ni-Al Alloy Glasses Studied by XPS" Zeitschrift fur Physikalische Chemie. (1993)
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[Publications] Kazuhide Tanaka: "Surface Compositions and Hydrogen Storage Properties of La-Ni-Al Alloy Glasses" Zeitschrift fur Phisikalische Chemie. (1993)
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[Publications] Seyed M.Tadayyon: "Auger Electron Spectroscopy and X-Ray Diffraction Study of Interdiffusion and Amorphization of Ni/Ti Multilayers" Japanese Journal of Applied Physics. 31. 2226-2232 (1992)