1991 Fiscal Year Annual Research Report
超微粉の超高圧焼結による極微細組織材料の調製と特性評価
Project/Area Number |
02452238
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Research Institution | The University of Tokyo, Institute of Industrial Science |
Principal Investigator |
林 宏爾 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30011109)
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Keywords | 超微粉 / 焼結 / 極微細組織 / 硬さ / クリ-プ変形 / 鉄 / コバルト / ニッケル |
Research Abstract |
申請者は市販のFe、Co、Niなどの金属超微粉(粒径、0.02μm:酸素量、6〜15mass%)の焼結により、微細結晶粒の金属や合金を得るための還元条件、無加圧または加圧下での焼結緻密北条件ならびに焼結体の結晶粒度と室温硬さなどを基礎的に調べてきている。その結果、所定の条件下で低酸素(0.03%〜0.02mass%)の完全緻密焼結体が得られ、その結晶粒度(d)としては溶解法では得難い0.1〜0.3μmのものが得られること、焼結体の室温硬さは、単成分系では500〜600Hv、2〜3成分系では800〜870Hvにも及び、普通粒度のものに比べ著しく高いこと、単成分金属や単相合金についてはHvとd^<-1/2>との間には、普通粒度の場合と同様のHallーPetchの直線関係が成り立つこと、などを明らかにした。このような微細粒度の金属・合金については、従来、高温硬さの測定例は見当たらず、硬さの試験温度依存性がどのようになるかは興味深い。そこで本研究では、Fe、Co、Ni単成分系の超微粉およびFe+Co、Fe+Ni、Co+Ni2成分系とFe+Co+Ni3成分系の混合超微粉の焼結によって得られた粒度0.10〜0.35μmの微細結晶粒金属・合金について室温から1073Kまでの硬さの試験依存性を調べた。単成分金属については、結果を、同じく超微粉から作製した中〜粗粒の金属(0.5〜3.5μm)と比較検討し、以下の諸結果をえた。 (1)成分間や粒度間のHvの大小関係は、試験温度によって一般に変化しなかった。(2)Fe微粒試料(0.22μm)のHvは、中粒(0.82μm)、粗粒試料(3.5μm)に比べてかなり低い温度(それぞれ約500、700、800K:融点に対する比はそれぞれ約0.28、0.39、0.44)で急激に減少した。この主原因は、粒成長や歪の回復にあるのではなく微粒試料ではクリ-プ変形が起こり易いためと考えられた。
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[Publications] 藤内 秀人,林 宏爾: "Co+Ni,Fe+Co+Ni混合超微粉の加圧焼結および焼結体の粒度と硬さ" 粉体および粉末冶金. 38. 482-485 (1991)
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[Publications] 藤内 秀人,林 宏爾: "Fe,Co,Ni単成分および混合超微粉焼結体の試験温度依存性" 粉体および粉末冶金. 38. 854-857 (1991)