1990 Fiscal Year Annual Research Report
IIIーV化合物半導体薄膜の相安定性に関する熱力学的解析
Project/Area Number |
02452240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 工学部, 助教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 博司 東北大学, 工学部, 助手 (70176923)
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
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Keywords | 化合物半導体 / 薄膜 / 歪みエネルギ- / 整合歪 / 状態図 / エピタキシャル成長 / IIIーV化合物 / 基板 |
Research Abstract |
現在の半導体作製技術の中で、III族(Al、Ga、In)とV族(P、As、Sb)より生成されるZincblende型の化合物半導体デバイスは、高い電子移動度と高い発光効率を有するので、その重要性は益々大きくなっている。これら化合物半導体薄膜の作成の際に、基板とエピタキシャル層との格子歪みが、その薄膜成長やデバイス特性に大きく影響することが知られている。そこで本研究は、基板と化合物層の間に発生する整合歪が相平衡に及ぼす影響について定量的に把握することを目的とし、熱力学的見地より解析を行なった。今年度は、特に種々の基板上に液相エビタキシャル成長を行なった場合の薄膜の相平衡の理論計算を行なった。熱力学解析の際に、液相と化合物相の自由エネルギ-をそれぞれ正則溶体モデルと副格子モデルにより近似し、さらに化合物相には基板と化合物間の格子定数の差に寄因して発生する歪みエネルギ-を組成と膜厚の関数として付加えた。これよりGaAs基板及びInP基板にGa(As、Sb)をLPE成長させた時の相平衡を計算した結果、次に示すようにバルク材と薄膜での相平衡は大きく異なることが判明した。 1.GaAs基板上に成長するGa(As、Sb)化合物: バルク材で出現するGa(As、Sb)化合物の2相分離は、LPE成長させた薄膜では歪みエネルギ-のためにGaSb側に偏り、膜厚が小さいほどその変化は大きい。 2.InP基板上に成長するGa(As、Sb)化成物: Inpの格子定数(0.58688nm)はGaAs(0.56534nm)とGaSb(0.60954nm)の中間であるために、GaAs_<0.5>Sb_<0.5>近傍で、歪みエネルギ-の寄与が小さくなり、そのため、この組成近傍で均一固溶体が生成するという興味深い結果が得られた。
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