1990 Fiscal Year Annual Research Report
粒界設計制御工学的手法にもとづく脆性材料の強靭化に関する研究
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02452241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 忠雄 東北大学, 工学部, 助手 (40005327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 洪 東北大学, 工学部, 教授 (30005243)
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Keywords | 粒界設計制御工学 / 粒界脆性制御 / 多結晶体の強靭化 / 粒界性格分布制御 / 脆性材料の強靭化 / 高融点金属材料 |
Research Abstract |
初年度に予定されたSEMーECP法による粒界性格分布決定の半自動化が,デジタイザ-とマイコンを連結させた画像解析法の開発により,ほぼ計画通りに完成した。半自動化されたSEMーECP法によると,粒界性格の決定が従来の手作業によるECP写真の解析にくらべ,解析時間が約1/10となり,今後の研究遂行に非常に有効であることが確かめられた。初年度においては,さらに半自動化されたSEMーECP法を用いて,高融点脆性金属として知られているモリブデンに対し,初期方位の異なる単結晶を加工熱処理して得られた多結晶試料の粒界性格分布の調査が行なわれた。その結果,初期方位が{110},{111},{112}の単結晶の圧縮変形およびその後の焼鈍で作製された多結晶試料においては,粒界破壊を起こし難い低角度粒界の頻度が,単結晶の初期方位および焼鈍温度に強く依存することが明らかにされた。とくに初期方位{111}をもつ単結晶から作製された多結晶試料では極めて高頻度の低角度粒界が存在し,その結果,粒界破壊を起こしやすい高エネルギ-のランダム粒界の頻度が全粒界の約半分に低下することが明らかにされた。このように粒界破壊しにくい低エネルギ-粒界を多く導入し,逆にランダム粒界の頻度を低下させることが適切な加工熱処理法によって可能であり,本研究でめざす粒界設計制御による脆性材料の強靭化の土台となる知見を得ることが出来た。また本年度においては,多結晶体の破壊靭性,脆性一延性遷移に対する粒界性格分布の影響に対する理論的研究がなされ,3次元多結晶体の破壊靭性が低エネルギ-粒界の頻度と共に増加し,ある特定の頻度で脆性破壊から延性破壊への遷移のおこることが明らかにされた。このことは既に定性的に明らかにされている多結晶体の破壊過程,靭性に対する粒界性格分布の影響に関して定量的議論の土台となる知見である。初年度に予定された研究計画は完全に実施され,予想以上の成果を得た。
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[Publications] L.C.LIM Tadao WATANABE: "Fracture Toughness and BrittleーDuctile Transition Controlled by Grain Boundary Character Distribution (GBCD) in Polycrystals." ACTA METALLURGICA et MATERIALIA. 38. 2507-2516 (1990)
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[Publications] Tadao WATANABE: "Grain Boundary Design and Grain Boundary Character Distribution (GBCD) in Textured Polycrystalline Materials." Proceedings of the 9th International Conference on Textures of Materials,Societe Francaise de Metallurgie. (1991)