1991 Fiscal Year Annual Research Report
化合物半導体基板上におけるヘテロエピタキシャル成長ダイナミクスに関する研究
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02452248
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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Keywords | 透過電子回折法 / 反射高速電子回析法 / オ-ジェ電子分光法 / 表面構造 / Patterson関数 / ヘテロエピタキシャル成長 / 成長様式 |
Research Abstract |
当該年度は、前年度でその表面構造を明らかとしたInSd{111}および、InSb(001)を基板として用い、その上での金属のエピタキシャル成長過程を超高真空電子顕微鏡法(UHV insitu TEM)、反射高速電子回折法(RHEED)、およびオ-ジェ電子分光法(AES)によって研究することを目的とした。以下にその結果の概要を述べる。 (I)UHV inーsitu TEM法による研究 (1)In/InSb{III}系 この基板上において、Inは初期、バルクの結晶構造(fct)とは異なるfcc構造を取りながら島状成長する。また、基板極性に応じて配向性に変化が見られた。 (2)In/InSb(001)系 Inは2種類のエピタキシャル配向関係で島状成長する。ひとつは、(100)配向粒子であり、{111}上のInと同様にfcc構造をとる。いまひとつは、[110]方向には小さなミスフィットの値を持つ(101)配向粒子であり、成長初期からfct構造をとる。 (3)Au/InSb(111)系 Auは成長初期、この基板上で√3x√3構造をとる。この構造をTED法を用いて解析した結果、HTーMTL(Honeycombly TrimerーMissing Top Layer)モデルが最も妥当であることがわかった。 (II)RHEEDーAES法による研究 (1)Ag/InSb(111)系 AgはInSb(111)A基板上でStranskiーKrastanov型成長をすることがわかった。その成長のごく初期、Agは√3x√3構造を示した。この構造は、約0.4nmの臨界膜厚を持ち、この臨界膜厚以上では、Agは基板に対し2種類の配向性をもってエピタキシャル成長した。 (2)Sn/InSb{111}系 SnはInSb(111)Aー2x2基板上では室温においてもαーSnとして成長する。その表面は3x3構造を示し、合金層の形成、拡散等は見られなかった。一方、InSb(111)Bー2x2基板上ではSbの拡散が起こり、3x3構造が見出される膜厚がA面の場合と比べ大きくなった。これは、InSb(111)Bー2x2表面のSbーtrimer構造と密接な関係がある。
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